ブラック企業のトンデモな実態 放っておけない!若き弁護団が立ち上がったワケ

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――「ブラック企業被害対策」を目的とした弁護団を立ち上げた意義はどこにあるのですか。

弁護士として労働事件に取り組むという意味では通常の弁護士業務の一貫ですし、他の労働事件を扱う弁護士の団体(たとえば日本労働弁護団など)の取り組みと、変わらないといえば変わりません。しかし、「ブラック企業被害対策」というネーミングで定義づけした意味は大きいと思います。たとえば、パワーハラスメントを意味する「パワハラ」という概念も、少し前までは言葉すらありませんでしたが、企業内におけるひどいいじめというのは、昔から存在していました。ネーミングによる効用は大きいと思っています。

ブラック企業被害対策弁護団は、代表を務める佐々木亮弁護士や私のように30代前後の若手弁護士が中心になっています。われわれと同世代の人たちは、昔のように正社員で入社して定年まで安心して勤め上げられなくなっている一方で非正規雇用やブラック企業に就職せざるを得なくなっている。同年代として共感する部分は多く、だからこそ自分自身もブラック企業の問題を放っておけない。

残業代の不払いを不当に“正当化”する

――ブラック企業の常套手段とは?

まずは、長時間労働の強制です。そのうえ正当な残業代を支払わない。たとえば、サービス業の場合は経験の浅い若者を店長に昇格させ、労働基準法上は残業代を支払わなくてもいい「管理監督者」と位置付けて残業代を払わないようにします。ただし、「名ばかり店長」「名ばかり管理職」という問題で語られるように、彼らは実は管理監督者ではなく、実際には残業代を払わなければならない。

若い人たちからすれば、全国や広域に展開している有名なチェーンの企業で店長になれるとカッコいいし、やりがいもある。自分の自信になります。ブラック企業はそこを利用します。店舗の総人件費は決まっている。そこでノルマを達成するために、アルバイトを雇うよりも店長がみずから働けばコストは抑えられる。際限なく働くようなこともある。

私が裁判を担当した事件では、3日間ほぼ寝ないで連続勤務を強いられた24時間営業の小売りチェーンの若い店長さんのケースがあります(SHOP99事件)。彼にとっては20代で初めて正社員になれた仕事で、半年そこそこの研修でいきなり店長を任された。初めは頑張ろうとやる気に燃えていても、やっぱり体が動かなくなり、うつ病になって休職に追い込まれました。裁判には勝利しましたが、企業側に反省の色は見られません。

最近は残業代を抑えるため、残業代は「固定残業代」として基本給に固定で含まれているということで労働契約を結ぶような企業もあります。それも労働契約を結ぶ前には明示しないのです。これは残業代の不払いを正当化しているように見えますが、原則として法的には認められません。裁判で争う例も増えてきています。

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