ブラック企業のトンデモな実態 放っておけない!若き弁護団が立ち上がったワケ

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昔ながらのブラック企業の問題が大手でも

――たとえば誰彼かまわず職場や自宅に電話をかけてきて、高額な商品を売り付けようとしたり、街中を歩いていて「名刺を交換してください」と呼びかけ、名刺を交換するとそれをきっかけに強引なセールスをしてきたり、といったようなことがありますが、ああいう会社こそブラック企業では?

そういう会社は、昔からブラック企業なんだと思います。ところが、今の問題は大手でも法律に違反するような行為に及んでいるところがあることです。若い経営者が立ち上げたベンチャー企業もそういうケースがあります。労務管理がむちゃくちゃで、下手をすると給料を払わないケースすらある。

――労働者が企業に立ち向かう手段の1つとしては、労働者が団結することで使用者(会社)側に対抗する労働組合がありますが、いわゆるブラック企業に労働組合はあるのでしょうか。

たいてい労働組合はありません。実はそれが問題の本質でもある。職場に労働組合が根付いていて、使用者(会社)側に言うべきことをキチンと言っていけば、企業はブラック化しないはずです。本来、労働者の権利は労働組合を通じた労働者たちの取り組みによって勝ち取られるべきものです。

会社に労働組合がなくても、最近は、一人でも入れる労働組合(ユニオン)が各地に広まっており、ブラック企業相手に団体交渉を通じて権利を実現している動きもあります。労働組合の活動は憲法、労働組合法によって守られていますので、これを活用しない手はありません。ブラック企業被害対策弁護団としても、労働組合の取り組みを積極的に応援していきたいと考えています。

(撮影:今井 康一)

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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