三井金属「極薄スマホ材料」の知られざる実力 シェアほぼ100%、なければスマホが作れない
世界中でスマートフォン(スマホ)の普及が拡大し、今や年間の出荷台数は15億台を超える。2016年以降、成長がやや鈍化してきたとはいえ、今後も3%以上の伸びが見込まれている。
そのスマホ向け材料でほぼ100%のシェアを握る日本企業がある。非鉄金属大手の三井金属だ。ここ数年、スマホの小型・軽量・薄型化は目覚ましいが、それを材料面から支えてきたのが同社である。
三井金属は極薄銅箔をほぼ独占供給する。読んで字のごとく、極めて薄い銅箔である。製品名は「Micro Thin(マイクロシン)」。スマホの中にあるパッケージ材料として、微細な回路に適した薄さと、剥離の際の強度を併せ持った製品だ。
従来の5~6倍の使用量
銅箔事業は三井金属の大きな収益柱に育ったが、ここにきてその拡大に拍車がかかっている。これまでの用途は、アプリケーションプロセッサー、メモリ、モジュールといったパッケージ基板向けだったが、マザーボードであるHDI基板(ビルドアップ基板)へも用途を拡大し、今年度から本格販売に踏み切る。
マザーボードには多くの電子部品を固定し配線する。パッケージ基板と比べて、面積が大きく、基板層数が多い。つまり、極薄銅箔がより多く使用されるということだ。スマホ1台当たりで見ると、パッケージ基板の5~6倍の使用量になる。
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