三井金属「極薄スマホ材料」の知られざる実力 シェアほぼ100%、なければスマホが作れない

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三井金属が銅箔事業を手掛けていることは、実は業界関係者の間でもあまり知られていなかった。きっかけは、2011年の東日本大震災だった。携帯電話やスマホの生産でサプライチェーンの問題が表面化したことで、三井金属の存在が知られたという。

マレーシア工場はBCPのためだった

マレーシア工場は来年1月までに生産能力をほぼ倍増する。いずれ上尾をしのぐ最大の生産拠点となる(写真:三井金属)

「ほぼ独占」というスマホ向け極薄銅箔では、供給責任も求められる。「実は、今回増産投資をするマレーシア工場は、もともとBCP(事業継続計画)のための製造ラインだった」(三澤事業部長)。そのマレーシアは今後、主力の上尾工場をも上回る生産工場となっていく。

三井金属は多くの特許も所有している。銅箔を剥がす有機剥離層といわれる技術や基板そのものに関するものなどさまざまだ。

国内の主要な特許は2019年3月までに切れるが、だからといって他社の追随は簡単ではなさそうだ。「生産技術そのものが長年積み上げてきたものであり、そう簡単に持てるものではない」(三澤事業部長)。マレーシア工場も上尾工場と遜色ない技術レベルになっているという。

今後は自動車分野も有望だ。電子化や自動運転技術が進む中で、部品の小型・軽量は必須条件。半導体などパッケージ基板を使った部品が増えていく。三井金属の極薄銅箔が活躍する場は、ますます増えそうだ。

木村 秀哉 東洋経済 記者

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きむら ひでや / Hideya Kimura

『週刊東洋経済』副編集長、『山一証券破綻臨時増刊号』編集長、『月刊金融ビジネス』編集長、『業界地図』編集長、『生保・損保特集号』編集長。『週刊東洋経済』編集委員などを経て、現在、企業情報部編集委員

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