生保レディの囲い込みへ、日本生命が「秘策」 1日3時間半の勤務で育児や介護と両立

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日本生命が営業職員向けに新しい制度を導入する(記者撮影)

1日3時間半の勤務時間で従来報酬の約85%を確保できる――。日本生命保険(日生)は、今年4月から営業職員向けに「ファミリーケア職員制度」を導入する。生命保険会社の営業職員に対し、働き方の選択肢を広げ、より仕事を続けやすい環境にしようという業界初の試みだ。

介護や育児に取り組む営業職員が対象

新制度の中身はこうだ。介護中や育児中の営業職員を対象に、1日の労働時間をフルタイムの7時間から半分の3時間半にする。ただし重要な連絡事項もあるため、週2日は午前9時~午後1時半に出勤、そのほかの日は柔軟に出勤時間を設定できる。標準的な営業職員のケースでは、基本給部分は減るが、歩合制の給与部分を合わせれば、これまでの約85%の報酬は確保できるという。

さらに通常の有給休暇(年間20日)に加えて、年間50日の特別休暇も取得できる。この特別休暇は、通常の有給休暇ほどではないがある程度の給与が支給される。連続休暇取得も可能で、分散して取得すれば週休3日にすることもできる。

子育ての場合、子どもが小学校に慣れる1年生の8月末まで、介護の場合は父母、祖父母、きょうだい、配偶者やその親も対象に、その介護が終わるまでこの制度を利用できる。

「退社する理由は一つではないが、介護や育児に追われて、仕事との両立が難しくなり退社していく営業職員がいる。長く働いてもらうために、新たな働き方の選択肢を増やした」(伊藤直芳・営業企画部営業勤労課長)。日生には約5万人の営業職員がいるが、特に営業成績が優秀な営業職員の退社は、営業拠点の業績悪化に直結する。一般に「営業職員の定着率と契約の継続率は比例する」といわれており、営業職員がより長く仕事を続けられることは、契約者との関係を継続することにもつながる。

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