ワイツゼッカー独元大統領の演説から学ぶもの
三部に渡って、コラム人気が落ちるのも知りつつ、政治的リスクをたっぷり背負いながら綴った大長編コラムだが、書かせてくださった編集部に感謝し、またお読みいただいた皆様に感謝申し上げる。
最後に1985年5月8日のドイツの終戦記念日に出された、ワイツゼッカー元大統領の歴史に残る国会でのスピーチを紹介して、本コラムを締めさせて頂きたい。
(以下抜粋/参考・岩波書店「荒れ野の40年」)
“・・・我々は罪の有無、老幼いずれを問わず、我々全員が過去を引き受けねばならない。全員が過去からの帰結に関り合っており、過去に対する責任を負わされている。
問題は過去を克服することではない。さようなことができるわけもないが、後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはいかない。過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となるのだ。
我々年長者は若者に対し、夢を実現する義務を負ってはいない。我々の義務は誠実さだ。心に刻み続けるということがきわめて重要なのは何故か、このことを若い人々が理解できるよう手助けせねばならない。
私は若い人たちにお願いしたい。
他の人々に対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしてほしい。
ロシア人やアメリカ人、ユダヤ人やトルコ人、オルターナティヴを唱える人々や保守主義者、黒人や白人、これらの人たちに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしてほしい
ロシア人やアメリカ人、ユダヤ人やトルコ人、オルターナティヴを唱える人々や保守主義者、黒人や白人、これらの人たちに対する敵意や憎悪に駆り立てられることのないようにしてほしい
若い人たちは、互いに敵対するのではなく、互いに手を取り合って生きていくことを学んでほしい。
民主的に選ばれた我々政治家にもこのことを肝に銘じさせてくれる諸君であってほしい。そして範をたれてほしい。
自由を尊重しよう。平和のために尽力しよう。法を遵守しよう。正義については内面の規範に従おう。今日五月八日にさいし、能うかぎり歴史の真実を直視しようではないか”
(ワイツゼッカー元大統領の演説全文はこちら)
終戦記念日を迎える明日、大戦中にガス室や戦地に散った人、全体主義の政府に駆り出されて戦地に散った人、そんな彼らに殺された人、そして今も絶えず戦争で殺されている人々の、全ての戦争犠牲者に黙とうを捧げたい。そしてワイツゼッカー演説の中にあるよう、民主的に選ばれた政治家たちに、両国友好の範をたれるよう、強く自覚を促したい。
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