北朝鮮がICBMを開発すれば日米同盟は弱まる 現実味を帯びる「米国が日本を見捨てる日」

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北朝鮮の脅威が高まるなか、トランプ政権は2月の日米首脳会談で、「核および通常戦力の双方による、あらゆる種類の米国の軍事力を使った日本の防衛に対する米国のコミットメントは揺るぎない」と共同声明に明記した。

また、4月中旬のマイク・ペンス米副大統領の訪韓の際にも、トランプ政権は拡大抑止力による防衛を韓国に確約した。トランプ政権にすれば、米国の核の傘の信頼性が失われ、日本や韓国で核兵器保有論議が本格的に高まることだけは防ぎたい。日韓が核兵器保有に向かえば、国際的な核不拡散条約(NPT)体制がいよいよ崩壊しかねないからだ。日韓の核ドミノは、隣国の中国にとっても最悪シナリオとなる。

ジェームズ・マティス米国防長官(写真)は、北朝鮮のミサイル・核開発を国家安全保障への「最も差し迫った」脅威だと指摘している(写真:ロイター/Jason Reed)

米国第一主義を標榜してきたトランプ政権なだけに、日韓の両政府は米国による拡大抑止力の提供の約束にひとまずホッとしたことだろう。

米国には世界のリーダーを務める余裕がない

しかし、TPP(環太平洋経済連携協定)離脱やパリ協定の離脱表明に示されているように、米国はすでに世界のリーダーを務める余裕がなくなってきている。財政の制約もあり、世界の警察官をやめていく中長期的な趨勢に変わりはない。

また、日韓にとって、拡大抑止力の消失のほかに、もう1つの最悪なシナリオとしては、米国が「米本土に届かない範囲の弾道ミサイルなら容認する」と北朝鮮による核ミサイルの保有を認めてしまうことだ。このような米朝の手打ちは、米国が安全でも、日本や韓国は北の核ミサイルの射程に入ったままの危険な状況にさらされてしまう。

そもそも北朝鮮が米国と日本と韓国をそれぞれ攻撃できるミサイルや長射程火砲を保有しようとしているため、日本や米国、韓国にとっても、最悪のシナリオが違っている。韓国にとっては、南北の軍事境界線近くに大量に配備されている北朝鮮の長射程火砲が脅威だ。有事になれば、射程内にあるソウルの大被害は避けられない。

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