池上彰・佐藤優は、「読む本」をどう選ぶのか 2人の「知の源泉」を一挙公開、その秘訣は?
佐藤:私は、実際に本を選ぶとき、「帯の情報」を非常に重視しています。それは、ほとんどの場合、帯の情報は、本のつくり手である編集者が書いているからです。
本の実力は「帯」と「本の真ん中あたり」に出る
佐藤:優秀な編集者ほど、帯に「どんな情報」「どんなキャッチコピー」を入れるかに心血を注ぎます。だから結果として、帯に力が入っている本は、それだけ編集者が力を入れている本のことが多いんです。
池上:なるほど。「帯」を見れば、その本を担当している編集者の力量から本にかける熱意までわかる、というわけですね。確かに最近は、捨ててしまうのがためらわれるような、凝った帯をつけた本も増えていますよね。帯に書かれた言葉で、店頭でふと目を留めることもあります。
佐藤:先ほども言いましたが、一部のネット書店では、表紙画像に帯がついていないことがあります。その点でも、実際に、リアル書店に足を運び、本を見ることの意義は大きいと思います。
佐藤:そしてもうひとつ、本のレベルを簡単に見極める方法があります。最初に、本の「真ん中あたり」を開いて、そこを少し読んでみるんです。
池上:いきなり本の「真ん中」を開くんですか?
佐藤:はい。というのも、本の「冒頭」と「末尾」は、著者と編集者が「売る」ために一生懸命、力を入れてつくります。でも、「真ん中あたり」になると、書き手も編集者も緊張と集中力が続かずに、中だるみしがちです。つまり、「その本のいちばん弱い真ん中の部分」を拾い読みすることで、本全体の水準を推察できるわけなんですね。