ルノー・トゥインゴ「171万円」MT車の魅力 異色のRRレイアウトは意外と楽しいぞ

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もっとも、三菱との共同開発による初代フォーフォーはフツウの前輪駆動で、デザインもいまいちスマートっぽくなかった。スマートがいま、同じRRプラットフォームをベースにして2座と4座をつくっているのは、単にコストダウンのためだけではなくて、RRをブランドのアイデンティティとして一貫させたかったのだろう。

ともかくこの提携のおかげで、トゥインゴは3代目にして初めてRRになった。ルノーのRRというと、戦後すぐに登場したフランスの国民車4CVとか、1960年代のR8とかをマニアは思い浮かべるわけだけれど、筆者は、いつかそれらに乗る日に備え(そんな日は来ないかもしれないけれど)、いまのルノーのRRを体験しておきたかったのである。

キュートでラブリーで、カワイイ♥

某日の夜、GQ編集部のある宮益坂のビルの前の路上に佇むトゥインゴは、「フレンチ・ブルー」と呼びたいボディ色をまとっていた。写真同様、キュートでラブリーで、カワイイ♥。

エクステリアはルノーの70年代の小型車の傑作である5(サンク)、あるいはそれのミドシップ版の5ターボを参考にしたそうだけれど、コワい顔が主流の平成の世の中にあって例外的に柔和で平和なところがイイ。RRであることを主張するリアのふくらみが控えめにあって、2ドアに見えるように後ろのドアのノブが隠されていたりもして、スポーティなデザイン要素も加わっている。

インテリアはいささか女の子っぽいけれど、基本的にはごくシンプルで好ましい。ポップでモダンで、あっさりしている。タコメーターがないのはさみしいけれど、ステアリングホイールとシフトノブは革巻きで赤いスティッチが入っている。グレーのシートはシックでカジュアルで、全部ひっくるめてビンボーくさくない。

日産マーチよりも全高が30mmだけ高くて、ホイールベースが40mm長くとられていること以外はマーチよりもコンパクト、具体的には全長3620×全幅1650×全高1545mmだけれど、十分な室内空間が確保されている。フロント・スクリーンが比較的立っていて、クラシックな感じがするのも美点というか、筆者好みだ。

キイをひねって走り出すと、エンジン音がとても静かである。ガソリンを内部で爆発させる騒音源がフロントにあるより、リアにある方がドライバーから離れるからだ。2490mmのホイールベースのはるかかなたで、3気筒が奮闘している。

「EDC」と呼ばれるデュアル・クラッチ・トランスミッションのトゥインゴが0.9リッター・ターボであるのに対して、MTのみ1リッターの自然吸気エンジンを搭載している。最高出力71ps/6000rpm、最大トルク91Nm/2850rpmと、トルクだけ見ると軽自動車のターボ以下のトルクしかない。

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