ぐっちーさん「豊洲移転など、ありえない!」 築地なら都の負担ゼロ、家賃も入るのが常識

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山口:もう一つ思うことは、築地はあんなにすばらしい場所に立地しているんだから、改修案も民間と組み合わせようと思ったら、絶対に資金を出す民間企業が出てきますよ。

都の役人たちからなる「市場のあり方戦略本部」が出している資料を読むと、「豊洲を整備したのに、さらに築地を改修したらまた莫大な資金がかかる」と主張しています。しかし、PTも提案しているように、築地に造る新市場に商業施設を抱き合わせるような計画にすれば、都側が腰を抜かすほど、資金を出す民間がわんさと出てくるはずです。だって銀座のすぐ隣ですよ!? 使えない施設を造ってしまった豊洲にはおカネを出す民間は出てこないと思うけど、築地は場所も場所、しかも今から造るということだから、事情がまるで違います。

竹内:私たちも築地の改修はPPP(官民パートナーシップ)を利用して行えば、都の負担も少なくて済むと言っているんですけど、都側からはなかなか賛同の意見は出てきません。市場のあり方戦略本部は、「豊洲移転をやめたら大変なことになる」(編集部注:借金の繰り上げ返済や補助金の返済などで2019年度にも資金繰りが行き詰まるなど)ということだけを強調しています。

築地なら全て民間資金で開発、豊洲の費用も15年で回収

山口:彼らが作成した資料を見ると、築地の改修案に対しては「現状のまま、巨額の資金を提供できる相手を見いだすことは厳しい」なんて書いている。だけど僕に言わせれば、厳しくもなんともない。

たとえば、シンガポール政府なんかが、すぐに飛びついてくると思いますよ。僕はかつて投資銀行でGIC(シンガポール政府投資公社)の、日本での窓口を担当していたのですが、そのときはちょうど東京の汐留の再開発が始まる頃でした。

僕自身は「こんな辺鄙(へんぴ)な土地は手を出さないほうがいいだろう」と思っていたのに、シンガポール政府関係者に話したら「絶対に欲しい」と言う。実際、シンガポール政府は汐留に多額のおカネを投じて、広大なエリアを権利を押さえて開発に乗り出しました。今では、あの界隈で莫大な家賃収入を得ています。築地だったら汐留以上の価値があるから、民間だって外資だって放っておくはずがないですよ。

竹内:「築地を改修するとさらにおカネがかかる。どうするのか」とさんざん言われていますけど、山口さんの話を聞いたら、気持ちが楽になってきました(笑)。

山口:もっと言えば、PTのプランだって、都の予算を800億円以上もつぎ込んで改修しようというアイデアですよね? でも、築地市場のリニューアルだったら、都のおカネなんて一銭もいらないですよ。全部民間資金でできます。

竹内:そういう発想はありますね。全部、民間資金でできますか?

山口:もちろんです。東京都は築地市場の土地を売らずに、民間におカネを出させて市場改修をしつつ、商業施設建築をさせる。その後は都には地代まで入ってくることになるんだから、彼らにしてみれば何も問題はない。オイシイだけの話なんです。

竹内:そうか。土地も売らなくてもいいわけですね。

山口:豊洲の整備にかかった約6000億円は、築地のリニューアルによる民間からの収益があれば、15年ほどで回収できます。

竹内:そんなに早く回収できるんですか。

山口:築地の立地にはそれくらいの価値があります。金融マンの立場から見れば、都側が出している資料を見るかぎり、彼らは築地の価値をまったく算出していないし、その価値をわかっていない。ただの土地じゃない。築地にはそれ以外の付加価値がたくさんあります。銀座の隣ですから、うまく活用すれば兆の単位のカネを生める価値があるわけです。そこを理解しないで、「単なる市場の移転問題」ととらえてしまうと、莫大な価値を持つ都民の大切な資産を、みすみす失うことになってしまいかねませんよ。

阿部 崇 ジャーナリスト

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あべ たかし / Takashi Abe

1969年福島県生まれ。経済誌記者を経てフリーに。現在は週刊誌を中心に活動中。

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