ぐっちーさん「豊洲移転など、ありえない!」

築地なら都の負担ゼロ、家賃も入るのが常識

山口:ずいぶん不透明だし、まるで「収益は求めなくていい」と言っているような会計制度ですね。いかに公共事業といえども、いまや効率的な運営をして経営的に自立しないと許されない時代になってきています。50年前ならいざ知らず、なんとも時代遅れというか……。

ぐっちーさん(本名:山口正洋、やまぐち まさひろ)/投資銀行家。商社や証券会社、投資銀行などを経てブティック型の投資銀行を開設。金融・不動産に造詣が深く、企業のM&Aから地方再生まで幅広く案件をこなす。一方「ぐっちーさん」のペンネームで東洋経済オンラインなどに執筆するほか、有料メルマガ(会員約1万人)も配信

僕は卸売市場の専門家じゃありませんが、一連の議論を聞いていると、どうも築地市場が持っている機能について、きちんと評価されていない気がしてならないんですよ。

というのも、築地はよくパリの市場なんかと比較されたりするけれど、僕に言わせれば、まったく違う。海外の市場は言ってみればただ品物を並べて売っているだけ。築地には仲買という「目利き」がいて、よりよい食材を集めている。さらにその確かな目を頼りに一流の食材を求めるおすし屋さんやら料理人が集まってくる。いわゆる「食材のプロたちの交流・情報交換」を行う機能がある。こんな市場は、世界中探してみても築地だけだと思う。

竹内:豊洲に移転すると、一気に家賃が上がり、潰れる仲買が続出するといわれています。結局生き残れるのは、資金力があって豊洲の近くに大きな冷蔵庫を構えられるところだけだろうと。

「豊洲に移ったら仲買の半分は廃業に追い込まれる」

山口:僕も行きつけのおすし屋に聞いてみましたが、「豊洲に移ったら仲買の半分は廃業に追い込まれる」と言っていましたね。そうなると日本のすばらしい食文化が危機に瀕しますよ。

竹内:都内のすし屋やレストランの人たちが市場に行けなくなり、スーパーで食材を仕入れざるをえなくなるかもしれませんね。

山口:おっしゃるとおりです。たとえば「高級スーパーの紀ノ國屋で魚を買ってきてすしを握る」、みたいなことになっちゃう。豊洲への移転が招く仲買の廃業による経済的損失と食文化が被るダメージは計り知れませんよ。

竹内:豊洲に移転しても毎年140億円前後の赤字が垂れ流されることになるし、築地が持っていた仲買の機能の大半が失われる。だったら築地を改修して使い続けたほうがいいだろうという案を、私たちPTは提案しています。

山口:PTの提案にまったく同感ですね。今までの公共事業は、動き出したら絶対に止まらなかった。途中でどんなに「ひどい計画だ」と思っても、最後まで行っちゃう。そして完成してから、「どうしよう」となる。この豊洲移転案もデメリットがこれほど明らかになっているんだったら、小池都知事に頑張ってもらって「動き出した公共工事を止める」という事例を作ってもらいたい。

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