ぐっちーさん「豊洲移転など、ありえない!」 築地なら都の負担ゼロ、家賃も入るのが常識

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山口:確かに以前より「移転反対」の声は小さくなってきているようだし、「なんとなく豊洲に移転するのかな」的なムードができつつありますね。

竹内:しかし、いろいろ調べていくうち、私は「豊洲移転はすべきではない」と考えるようになりました。

そもそも東京には中央卸売市場は11あるのですが、2016(平成28)年の水産物取扱量は1990(平成2)年と比較してほぼ半分(51.2%)に、青果の取扱量は1991(平成3)年と比較して25%も減少しています。つまり業界全体が急激にシュリンクしている。その中で、築地市場よりも売場面積が広く、しかも全館冷房設備のある豊洲市場に移転しようとしているわけですが、移転後は当然、ランニングコストがハネ上がります。現在の築地での管理費等が26億円に対し、豊洲は82億円です。

これを含め、結局、豊洲に移転した後の営業損益は、PTの試算では毎年140億円前後の赤字(2018年ごろから)で推移すると予想されます。毎年巨額の赤字が出るのです。収支を悪化させている原因は管理費等、つまり高いランニングコストにあります。

山口:築地市場の移転問題で、このランニングコストのことはあまり話題にされていないですよね。

「11卸売市場のどんぶり会計」がひどすぎる

竹内昌義(たけうち まさよし)/建築家。東北芸術工科大学デザイン工学部建築・環境デザイン学科教授、 建築デザイン会社「みかんぐみ」共同代表。建築デザインとエネルギーを専門とし、国内で数々の先進的建築事例を手掛ける。2016年から市場問題プロジェクトチームのメンバーに就任

竹内:われわれプロジェクトチームでは問題視しているのですが、都庁幹部で構成され、豊洲移転を事実上後押ししている「市場のあり方戦略本部」の議論では、ランニングコストの議論はほぼ皆無です。

というのも、彼らは11カ所ある中央卸売市場をまとめて「中央卸売市場会計」という特別会計で見ていて、移転後に築地の跡地を売却して得たおカネをここに組み込んで、「11市場トータルで黒字になればいいんだ」という論法をとっているのです。

典型的なのが旧神田青果市場の扱い方です。東京都は1989年に廃止したこの市場の跡地を、後に一部売却しています。前出の市場会計では、これまで売却額は3700億円とされてきました。

しかし、最近判明したのは、3700億円とは実際の売却額ではなく、一般会計から市場会計に交付した額だったのです。神田市場の跡地が実際に売却されたのはだいぶ後になってからで、跡地全体の約6割が売却されたのですが、すでに平成バブルがはじけており、売却額は400億円ほどでしかなかった。結局、当初はその当時の路線価(1坪約4700万円)で計算して、「売れた」ことにしているだけだったんです。

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