ファミマが年2億本「焼き鳥」販売を狙うワケ 看板商品を"承継"、販促手法も大幅見直し

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ただ、ファミマの思惑は単に焼き鳥を売ることだけにとどまらない。狙いは総菜全体の底上げだ。ファミマによれば、おにぎりやすし、弁当などの米飯類においては5兆円の市場のうち、約3割のシェアをコンビニが占めるという。

レジ横の総菜売り場は商店街をイメージした「ファミ横商店街」として展開、顧客への訴求力アップを狙う(撮影:風間仁一郎)

だが、焼き物や揚げ物、サラダなどの一般総菜においては、3兆円の市場のうちコンビニが占めるシェアはおよそ15%にとどまる。一般総菜の市場は大きいのに、コンビニはまだ顧客を開拓しきれていない。ファミマが焼き鳥に取り組む理由はここにある。

ファミマは焼き鳥以外にも一般総菜の商品を拡充する方針だ。今後、どのような商品を出していくかについて澤田社長は言及を避けたものの、天ぷらなどを念頭に置いているようだ。一般総菜の強化によって、主婦層を中心に女性のマーケットをと開拓する狙いも垣間見える。

値引き販売は今後抑制

総菜強化と並行して、これまでの販促手法も大きく見直す。これまでのファミマの販促は、値引きを中心としたキャンペーンがメインだった。だが、「値引きという手法は安易すぎる。せっかく作った商品なので、商品の魅力をしっかり伝えて、継続的にお買い上げいただきたい。今後価格訴求は減らしていきたい」(澤田社長)。

値引きの抑制と合わせて、店頭に掲げるのぼりや店内に掲示するポスターなど販促物も大幅に減らす。これには加盟店の負担軽減の意味合いもある。これまで加盟店は約1週間のうち販促物の掲示などに2~3時間を費やしていたが、この時間を半減できるという。

新投入の焼き鳥を手に持つ澤田貴司社長。テレビCMの新キャラクターとして、ファミマの主力商品を擬人化した「ファミチキ先輩」も登場する(撮影:風間仁一郎)

一方で本部側がコストを負担するテレビCMの投下量を前期比で2倍に増やす。今後のCMについては全国のファミマで働く従業員を登場させるなど、内容も大幅に刷新する。

サークルKサンクスとのブランド統合でファミマの店舗数は約1万8000店となり、業界トップのセブン-イレブン・ジャパンに肉薄する規模に拡大した。だが、1日当たり1店売上高(日販)はセブン67万円に対し、ファミマは52万円となっており、両社の力の差は歴然としている。

就任から9カ月が経過した澤田社長による改革は緒についたばかり。総菜強化や販促手法の見直しで王者セブンとの差を縮めることができるか。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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