医学部浪人生が語る「僕が現役で落ちたワケ」 膨大な暗記量も奇問を解く力も必要なかった

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しかし、すべてがそんなにうまく行くだろうか。私は少し意地悪な質問をしてみた。たとえば、本当に見たこともない、これまで蓄えた基礎力とどうにも結び付かない難問に遭遇したら、どうするのだろうか、と。この質問に対し、B君は自信ありげにこう答えた。

「自分がこれまで十分に基礎力を積み上げてきた自信があったなら、遭遇した難問が自分の基礎力の範囲で戦えないとわかった瞬間に、この問題は誰にも解けないのではないか、合格するためには不要である、と判断し、思い切って切り捨てることができる。

医学部入試には“爆弾問題”というのが存在し、一度手をつけると自滅してしまうのだ。現役時代の医学部入試では、こうした問題に遭遇し、しばし悩むことがあった。

ただ、今回の入試では自分が必死に努力してきたという自負があったので、自分が難しいと感じたのなら誰もできやしない、と踏ん切りがついた。一方、これまでの自分に甘えた部分があれば、判断に迷って心は揺らぎ、むやみに手をつけて余計な時間を費やしてしまうことになる」(B君)

"爆弾問題"を捨てられるか否かで合否が変わる

実に優れた、受験戦士の言葉である。B君のコメント中にある爆弾問題というのは、医学部入試で「解いてはいけない難問」のことだ。高校生向けの教科書、参考書のたぐいには掲載されておらず、性質的に、基礎力を積み上げていてもなかなか活路を見いだせない構成になっている。

たとえば、計算が極めて煩雑であるとか、場合分けが複雑で、丁寧に対応しているとその1問だけでタイムオーバーとなってしまうような問題である。科目でいうと数学や理科の出題に顕著であり、大学の教授が自らの研究の過程で得た知見や、定理、法則などを受験生レベルにアレンジして出題する場合もあるという。

大学側は、なぜ爆弾問題を出すのだろうか。一般に、こうした問題を出す傾向は難関大や受験者数が急速に膨張している医学部において顕著である。したがって、殺到する数千人もの受験者を、1次試験で一気に300~500人程度に絞るための苦肉の策なのではないか。ボーダーライン付近で受験生の点数が数珠つなぎになっている場合、合格ラインを設定するのに一役買うのである。

すなわち、爆弾問題を解くことができるかどうかではなく、こうした難問を「切り捨てる」判断ができるかどうかが合否を分けるのである。

超難関の医学部受験。ただ、浪人を経て見事合格を手にした生徒たちへのヒアリングから判明したのは、ものすごい量の暗記や飛び道具的な受験テクニックではなく、基礎から根気強く理解する勉強法こそが、合否を分けるということである。

小林 公夫 一橋大学博士、作家

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こばやし きみお / Kimio Kobayashi

専門は医学と法、生命倫理学。現在は生殖医療や実験的治療行為など先端医療の研究に従事している。研究の傍ら、医学部受験生の指導にあたり、医学部受験予備校インテグラ、医学部&東大専門塾クエストで、医学概論、医学部生物学、医学部小論文・面接などを指導。著書多数。代表作にシリーズ累計21万部突破の『「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』『新「勉強しろ」と言わずに子供を勉強させる法』「オトバンクFeBe版勉強しろと言わずに子供を勉強させる法」(PHP研究所)、『わが子を医学部に入れる』(祥伝社新書)などがある。『医学部の面接 [3訂版](赤本メディカルシリーズ)』、『医学部の実践小論文 [改訂版](赤本メディカルシリーズ)』(教学社)は医学部受験生のバイブル。医学部入試に関する情報はオフィシャルサイトにも掲載している。

 

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