日経平均は反落し1万3600円割れ 「リスクオフ」の流れで売り先行

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業種別では33業種のうち、21業種が値下がりした。下落率トップは不動産。4~6月のGDPが年率換算で前期比2.6%と市場の事前予想を下回ったのをきっかけに、「消費税上げが遠のき、日本の財政の健全性が損なわれる恐れが強まって債券が売られる(=長期金利が上昇)」との連想から売りが膨らんだ。以下、その他金融、証券・商品先物の順だった。みずほフィナンシャルグループを筆頭にメガバンク株も軟調。マツダ、スズキなど自動車株の一角も売られた。NKSJホールディングスが午後に入ってマイナスに転じるなど、前週末の好決算を好感し午前の取引で上昇した大手損保株が伸び悩み、ファーストリテイリング、ソフトバンクなど日経平均への寄与度の高い値ガサ株も先物売りにツレ安。個別では日精樹脂工業、ケネディクスなどが売られた。

半面、12業種が上昇した。値上がり率トップはゴム製品。前週末の2013年1~6月期決算発表で、12月期通期の営業利益予想を従来の3820億円から4000億円(前期比約40%増)へ上方修正したブリヂストンが牽引役となった。鉱業、非鉄金属なども上昇し、コマツや日立建機といった中国関連の主力銘柄も堅調。個別には日本カーバイド工業、シチズンホールディングス、渋谷工業などが買われた。

GDP発表受け消費税を巡る思惑も

消費税をめぐっては、「引き上げるリスクと引き上げないリスクを見極めようとの雰囲気が強まっている」(大手証券)との声が聞かれる。増税に踏み切れば財政の健全性に対する不安が後退する一方で、景気下振れにつながりかねない。これに対して、増税を先送りするようだと、「国際公約違反」と受け止められ、「日本売り」が加速する不安がある。消費税の行方を占ううえで、早くも9月9日に発表予定の4~6月GDP改定値に市場関係者の注目が集まる。

日本株式相場から見れば、不透明要因が1つ加わった格好。参加者の夏休み入りで今週は市場エネルギーの盛り上がりも見込み難い。13日は手控えムードがさらに強まり、方向感の定まらない状況になりそうだ。

松崎 泰弘 大正大学 教授

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まつざき やすひろ / Yasuhiro Matsuzaki

フリージャーナリスト。1962年、東京生まれ。日本短波放送(現ラジオNIKKEI)、北海道放送(HBC)を経て2000年、東洋経済新報社へ入社。東洋経済では編集局で金融マーケット、欧州経済(特にフランス)などの取材経験が長く、2013年10月からデジタルメディア局に異動し「会社四季報オンライン」担当。著書に『お金持ち入門』(共著、実業之日本社)。趣味はスポーツ。ラグビーには中学時代から20年にわたって没頭し、大学では体育会ラグビー部に在籍していた。2018年3月に退職し、同年4月より大正大学表現学部教授。

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