アマゾンは、メディアで稼げるか? ベゾスの「メディア改造計画」を予測する
アマゾンは、ネット広告の分野でも革新を起こせる潜在力がある。
近年、アマゾンの広告ビジネスは急激に伸びている。アマゾンは数字を公表していないが、米調査会社eマーケターは、2012年のアマゾンの広告売上を前期比45%増の6.09億ドル(609億円)と推計している。
アマゾンの全体売り上げに比べれば雀の涙だが、その成長性と利益率の高さ(一般に2〜3割)は魅力的だ。
アマゾンの持つ「誰がいつ何を購入したか」のデータは、グーグルの検索データや、フェイスブックのもつSNS上のデータと比べても強力といえる。「購買データ」は、広告主にとっても垂涎の的だ。
さらに、ワシントン・ポストを買うことで、「誰がどのニュースをいつ読んでいるか」のデータも入手できるようになる。これらのデータを最先端のテクノロジーと組み合わせれば、ターゲティング技術にさらに磨きがかかるだろう。
そしてアマゾンは、このターゲティング技術を、自社の関連サイトやワシントン・ポストだけでなく、その他の企業のマーケティング支援にも活用することができる(例:どのサイトに広告を出すべきかの最適化戦略をコンサルティングする)。すでにアマゾンは「アマゾン・アドバタイジング・プラットフォーム」という名で同事業に取り組んでおり、今後は、グーグルやフェイスブックにも負けない、広告代理店になる可能性もある。
現在、多くのウェブメディアは、売れ残った広告枠を、グーグルなどのアドネットワーク(多数のウェブメディアの広告枠を集めて、広告主に販売する仕組み)で売りさばいている。アマゾンが、その高いターゲティング技術を活かし、競合より高い広告単価を示せれば、グーグルの強力なライバルになるだろう。