TBS「小さな巨人」が描く縦社会の生き抜き方 「刑事版・半沢直樹」には学びがいっぱいだ

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「私は飼い主に尻尾を振るような犬ではない。警察官だ」

どんなに出世したくても、上司の言いなりになって自分の信念を曲げ、身近な人を裏切ると、仕事に誇りが持てなくなってしまう。

「確かに今は負けでしょう。ですが、最後に勝てばそれでいい。われわれはしぶといですよ」

他社や同期などのライバルに負けていても、今がゴールではない。早々に負けを認めて撤退するのではなく、「最後に勝てる方法を探し続ける」という姿勢が必要。

「現場畑の小野田がなぜ捜査一課長までなれたと思う? 刑事として優秀なだけではなれない。出世のために仲間を裏切ったからだ」

残念ながら「悪事に走る人が出世する」ことも多いのが現実。ときには「誰かを敵に回してでも目的を遂行する」という不退転の覚悟が求められる。

「恐ろしいもんやな、組織っちゅうのは。顔も形もないのに意思だけは存在している。正体不明の怪物みたいなもんや」

ビジネスパーソンには、自らの意思が尊重されず、「社風や社内慣習に従わなければいけない」というシーンがある。そこに逆らうと淘汰されかねないだけに要注意。

強烈な成果主義の女性上司も登場

ドラマは1~5話の芝署編が終わり、6話から豊洲署編がスタート。さっそく女性幹部候補の上司・須藤(神野三鈴)が登場し、「香坂さん、あなたも数字を出してちょうだい。数字を」と強烈な成果主義のキャラクターを見せるなど、ますます一般企業に置き換えられそうなシーンが増えています。

ここまで書いてきたように「小さな巨人」は、刑事ドラマでありながら警察組織のリアリティはほどほどに留め、ビジネスシーンに近い描き方をしています。それだけに今後、香坂が強固な縦社会の中をどう立ち回り、どうのし上がっていくのか? それとも「所轄の刑事として戦い続ける」という道を選ぶのか? ビジネスパーソンにとっても見逃せない展開が続くでしょう。

その意味で香坂は、正義の刑事というより、ビジネスパーソンの希望と言える存在になっていく気がしています。「まだ1度も見ていない」という人も十分間に合うだけに、日曜21時からの放送やTVerをチェックしてみてはいかがでしょうか。

木村 隆志 コラムニスト、人間関係コンサルタント、テレビ解説者

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きむら たかし / Takashi Kimura

テレビ、ドラマ、タレントを専門テーマに、メディア出演やコラム執筆を重ねるほか、取材歴2000人超のタレント専門インタビュアーとしても活動。さらに、独自のコミュニケーション理論をベースにした人間関係コンサルタントとして、1万人超の対人相談に乗っている。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』(TAC出版)など。

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