2位は「パワーハラスメントが多い」(674票)。パワハラとは、職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えたり、職場環境を悪化させたりする行為である。セクハラよりも票数は多かった。新入社員は、職場で最も下の立場になるので、当然気になるのだろう。
厚労省では、パワハラについて、6つのタイプに分類している。
1.身体的な攻撃(叩く、殴る、蹴るなどの暴行ほか)、2.精神的な攻撃(同僚の目の前で叱責させる、執拗に叱るなど)、3.人間関係からの切り離し(一人だけ別室に移される、会合に出席させないなど)、4.過大な要求(仕事のやり方がわからない新人が他の人の仕事まで押しつけられるなど)、5.過小な要求(事務職なのに倉庫業務だけを命じられるなど)、6.個の侵害(交際相手について執拗に問われるなど)だ(厚労省「パワハラの6類型」)。
1位は「残業代が支払われない」
まだ仕事ができない新人に対して、先輩社員や上司が仕事を教えていくうえでは、怒ることも叱ることもある。ただ、暴力は論外としても、精神的な攻撃に関しては、どこまでが指導でどこからがパワハラなのか、区別がつきにくいこともある。パワハラと相手に感じさせるかどうかは、指導的立場の人の資質によるところが大きい。会社全体としてはほぼ問題ないが、たまたま配属先の上司が威圧的な人ということもあり得る。
残念ながら、パワハラの実態は、外からはわかりにくい。見分ける方法の一つとしては、会社がパワハラに対してきちんと研修などを実施しているか、そうした事案を解決するための体制や仕組みを整えているかを、確認することだ。
そして、就活生が考えるブラック企業の1位になったのは、「残業代が支払われない」(907票)だ。選択肢にある「残業が多い」が9位(436票)にとどまった一方、残業が支払われないことに対しては、ほぼ9割の就活生がブラック判定を下した。
連合総合生活開発研究所が2016年に発表した「第32回勤労者短観」によると、昨年9月に時間外労働をした人の38.2%が、残業手当の出ない「サービス残業」をしている。そしてうち約2割が「上司に過少申告を命じられた」と不払い残業を強制され、66.5%が「申告する際に自分自身で調整した」と回答している。つまり、強制はされないものの、不払いを承知で自ら残業している人が3分の2以上もいるのだ。サービス残業時間は月平均17.6時間となっている。
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