被害2億円も!「修繕積立金トラブル」の実際 悪質コンサルに巻き上げられる

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気付いたときには貯めた修繕積立金がごっそり巻き上げられている…(写真 : akey / PIXTA)
 住民でつくる管理組合は、専門知識を持たない。大規模修繕の際は、設計事務所などコンサルタントに頼る。ところが悪質コンサルが跋扈している。

 

マンション改修の悪質コンサルタントは、深く、静かに侵入する。住民が気づいたときには、コツコツ貯めた修繕積立金がごっそり巻き上げられている。

京都市右京区の団地型分譲マンションは、3年前に実施した大規模修繕をめぐって激しく揺れている。当時の管理組合理事長は、引っ越してきたばかりだった。管理会社の紹介で大手設計事務所をコンサルに選び、大規模修繕への手続きを進めた。マンションの戸数は400、築後40年で3度目の大規模修繕だった。理事長はコンサルから「3億円程度で可能」と聞き、施工会社4社を集めて修繕工事の入札を行った。

そして、住民環視の集会で、公正を期して同時に入札書を開き、理事長は動転する。最低の工事費でさえ「5億2千万円」だったのだ。理事長は、話が違う、とコンサルに書簡を出すが、3億円と確約した覚えはない、とはね返された。着工間近、時間がないと押し切られる。修繕積立金だけでは足りず、管理組合は何と1億5千万円の借金をして大規模修繕を行った。

この間、多数の住民は「専門家に任せておけばいい」と看過した。昨年、管理組合の理事が一新され、40代の女性新理事がNPO法人京滋マンション管理対策協議会(京滋管対協)に相談を寄せ、コンサルの悪質さが再確認された。女性理事が言う。

「事前に他のマンションと情報交換をしていたら、2億円もドブに捨てはしなかった。悔しい。理事長のなり手がなくて、事情にうとい人に任せた結果です。管理組合が目覚めないと何も変わりません」。新理事10人のうち9人が女性になった。

工事費は、どう流れたのか。京滋管対協の谷垣千秋代表幹事が推測する。

「その設計事務所は京都の一等地に会社を構えていますが、過去にトラブルを起こしています。設計や監理(チェック)のコンサル料を安くして管理組合に近づき、施工会社に高い工事費で請け負わせ、リベートを取る。結局、管理組合には高い買い物になるのです。あの設計事務所の仕事はしないと宣言した業者もいます」

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