良作マンガのPRは「コマ画像」の拡散が有効だ ヒット作でなくても認知される仕組みとは?

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「自分の根っこに、作家も出版社も、書店も、読者も、作品にかかわる誰もがハッピーになってほしいという思想がある。作品には、広告宣伝費も投入されているから、出版社の利益にも配慮すべきだし、書店へのリンクも必要。あくまで全体の権利を守りながら、コツコツと還元できる仕組みをつくりたい」(渡邊氏)

コマには電子書籍プラットフォームへのリンクが出る仕組みになっている

1〜2巻を電子書籍で無料化し、作品に引き込む手法も多く見られるが、こうしたやり方に「一般の読者が飽きている傾向もある」(同)という。また、コマを一部見せるバナー広告を大量に打っている作品もあるが、テーマが成人向けや、暴力性の高い過激な内容のものに偏っている傾向があることに気づく人も多いだろう。それ以外の作品は、マスプロモーションではなかなか目に留まりにくい。良作であっても人知れず消えていくしかなくなっている。

「3巻から面白くなるはずだった作品が、1~2巻が売れなかったがために打ち切りになってしまった、ということもよくあるが、ビジネスなのでそういう判断があることは仕方がない。ただ、1人のマンガを愛する人間としては、いろいろな人が個々の作品の良さを見つけることができる場所を作ることで、これをなるべく食い止めたい」(同)

2017年内に3万冊の配信を目指す

「マンガルー」の収益源は、今のところはコマに貼られたアフィリエイトに限られているが、今後は企業などとのタイアップで、広告にも挑戦していきたいという。サービスを利用できるユーザーを審査しているので、その数が劇的に増える構造にはなっていないのが苦しいところだが、これも作家が意図しない形でコマが使用されてしまうことを防ぐ、という趣旨のあらわれだろう。

大量の絵の集積で作られるマンガ作品は、ある意味コンテンツの宝庫ともいえる。「理想的な形としては、マンガのPRプラットフォームになること」(同)。今後の展開としては、2017年内に3万冊の配信を目指し、ユーザーが読んだおすすめの作品を紹介できるページを作るなど、よりメディアとしての機能を強化するリニューアルも行う予定だという。「マンガルー」は強者だけが独り勝ちせず、業界の持続可能な発展に資する存在になれるだろうか。

関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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せきた しんや / Shinya Sekita

慶應義塾大学法学部法律学科卒、一橋大学法科大学院修了。2015年より東洋経済オンライン編集部。2018年弁護士登録(東京弁護士会)

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