グーグルが「ポケGO」の次に描く"未来"の全貌 拡張現実(AR)の技術はここまで進化した

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VSPなら、店内の商品の位置まで正確にマッピングできる(写真:グーグル)

さらにグーグルはAR技術を応用し、「肝いり」ともいえる新サービスを今回発表した。グーグルマップの部門と共同で開発した、「ビジュアル・ポジショニング・サービス(VPS)」と呼ばれる新たな位置情報サービスだ。GPS(全地球測位システム)はスマホが普及し生活に欠かせないものとなったが、主に建物の外で使われている。一方のVPSは「建物の中」を対象とする。

確かに一部の百貨店や商業ビルでは建物内もグーグルマップで表示されている。ただ、どの商品がどこにあるかまでは示すことはできない。

VPSはここで生かされる。スーパーマーケットなどで店内の通路をAR対応のスマホを持って歩き、空間をスキャンする。これにより「ゴルフボールほどの誤差しかない」(前出のベイヴァー氏)という、商品の細かな位置をすべて記録した地図が出来上がる。このデータはクラウドに上げられ、ユーザーが地図を使うときにはカメラに映し出されている店内の光景と一致させながら案内が進められる。

今後のグーグルの事業を牽引

グーグルでAR・VRの両事業を統括するクレイ・ベイヴァー氏(記者撮影)

ARはVRと並んで、今後のグーグルの事業を牽引していくものになると、ベイヴァー氏は言う。「世界中の情報を整理するというグーグルのミッションに照らして、ARやVRという、整理して使いやすくすべき新たな形態の情報が出てきたからだ」。

グーグルは、新しい技術をどう普及させていくか。ベイヴァー氏は「最初の登場から現在のスマホまで、30年以上かかった携帯電話と同じような進化を取り上げるだろう」と述べる。さまざまな利用シーンを地道に積み重ねていくことが、普及に向けたカギとなりそうだ。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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