まさか自分が…多くの親に潜む「毒親」の兆候 従順な優等生がストレスで豹変することも

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それを聞く度に佐藤さんはイライラして、気持ちが悪くなりました。そして、とうとうある日、「もういい加減にして! 私は私なの。私の仕事は私が決めるから」と母親に言ってしまいました。その3日後に、佐藤さんは1人でアパートを借りて住むことにしました。母親はいろいろ言ってきたそうですが、佐藤さんは固い決意で実行しました。「お母さんから離れないと私はダメになる」という思いが強かったそうです。

その後、卒業するまでの約3年間、1人で生活しました。1人で住むことで、解き放たれたような気持ちよさを味わい、同時に自由のありがたさを実感しました。就職活動で自分が興味を持った会社を訪問したり、自分の将来のことを自由に考えたりすることがとても楽しかったそうです。そして、かねてから興味のあった出版関係の仕事に就くことができました。

佐藤さんは最後に次のように言いました。「子どもの頃はいつも心から楽しめない毎日で、暗い気持ちでいたように思います。ピアノも弾けるようにはなりましたが、弾きたいとは思いません。大学生のときに爆発してよかったです。それがなかったら私はどうなっていたかわかりません。それにしても、子どもの頃に絵を習いたかったなあ。もし習っていれば絵本作家になれたかも……。自分の子どもを育てるに当たっては、最大限、子どもの意思を尊重したいと思っています。自分がやりたいことをどんどんやっていける、そういう人になってほしいからです」。

やりたくなかったことも頑張りすぎてしまうと…

筆者は、佐藤さんの話を聞いたとき、驚きました。というのも、佐藤さんと非常によく似たある女の子のケースをすでに知っていたからです。

その子は途中まで非の打ち所のない子でした。勉強も運動もよくでき、先生や友達に信頼されていました。塾が行った学力テストで地区の1番になったこともありました。習い事もたくさんやっていて、そのすべてにおいて優秀でした。ところが、ある日すべてを投げ出し、学校にも来なくなりました。

専門家に診てもらったところ、次のようなことを言われました。「彼女は長い間頑張りすぎて疲れてしまい、燃え尽きた状態になっている。本当はやりたくなかったことも頑張りすぎてしまった。そのストレスが今一気に出ている。でも、今出たのはある意味よいことだ。やり直しは十分可能だから。後になればなるほど大変になる」。

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