バブル期に乱立「鉄道系スキー場」の栄枯盛衰 大手私鉄が続々、JR東海も進出していた
新生・西武ホールディングスが苗場の新たな顧客として目をつけたのは子供だった。子供がスキーをするなら当然ながら親もやってくる。「小学生以上のお子様を持つ30代以上の人は、若い頃に華やかなファッションに身を包み、スキーを楽しんだ世代。自分の子供にもスキーを体験させたいという意欲が高い」とプリンスホテル新潟エリア統括総支配人の宮坂肇氏は言う。
かつてハイレグ水着の美女が闊歩した室内プールを、10年にターンや歩行がしやすい子供用室内ゲレンデに改装した。子供向けスキー教室を展開するためだ。「いきなり屋外でレッスンするよりも、室内でスキーに接するほうが基礎を身に付けやすい」(宮坂氏)。2012~2013年度から小学生以下のリフト券料金を無料にした。
老朽化が目立っていたホテルも3億円を投じて改装し、ファミリー向け、若者向け、リピーター向けといった具合に改装コンセプトも明確化した。ファミリータイプの部屋にはハンモックを設置。子供たちの評判も上々だ。こうした施策が奏功し、苗場の利用者数は2011年を底に上昇に転じた。
バブル崩壊はスキーヤーには僥倖だった?
現在の苗場は年末年始などのピーク時を除き、さほど混雑していない。リフトの数は半減したとはいえ、輸送力のある高速リフトは温存されているので、リフトを待つことなくゆったりとしたスキーが楽しめる。
ユーミンのライブは冬の風物詩として現在も変わらず開催されている。30年経った今も、スキーとライブを楽しみに毎年欠かさず苗場にやってくる人もいる。混雑のないゲレンデで家族連れやシニアがスキーを楽しむ。その光景は欧米のスキーリゾートと変わらない。
日本経済に深いつめ跡を残したバブルだが、スキーに限ればその遺産が日本人の余暇を豊かにしたのは間違いない。
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