大戸屋、経営陣の提案に創業家が示す「答え」 功労金の支払い額で両者に溝、新たな火種に

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一方で、会社が提示した取締役の人事案には、かつて創業家側が求めていた智仁氏の取締役復帰は盛り込まれていなかった。

この点については「今年の2~3月ごろから、現状の経営体制で会社に戻ることがベストではないと思うようになった」(智仁氏)とし、現在は外食企業を支援する事業を立ち上げるべく準備をしていると話す。

株主総会での対応は留保

山梨市にある三森久実氏の生家には大きな遺影が飾られていた(昨年7月の命日に、記者撮影)

6月末に開催される株主総会への対応については、「株主提案は間に合わないのでしない」(同)としながらも、現時点では対応を留保する。大戸屋OBや一部の加盟店オーナーなどからは、「ほかの株主に向けて智仁氏が、ブログや手紙で情報発信すべき」という声も上がっている。

創業家側が功労金を受け入れ、その後持ち株を売却すれば、現経営陣にとってはこれまで関係のなかった企業やファンドが大株主となることで、新たな不安要素を抱える可能性もある。

久実氏は生前、自らの保有する株を三森一族で保有し続けてほしいという意向を示していた。智仁氏も「父の背中を追いかけると決めていた」と話す。

この1年に表面化した問題の数々は、会社側の対応もさることながら、三森家が大株主として、経営に関与し続ける方針を貫いたからこそ、起きたことだった。ここでもし、創業家が金銭的な問題を理由に株式を手放すとなれば、これまでの対立は一体何だったのか。

今年の株主総会は6月28日に開催される。昨年に続き注目が集まりそうだ。

常盤 有未 東洋経済 記者

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ときわ ゆうみ / Yuumi Tokiwa

これまでに自動車タイヤ・部品、トラック、輸入車、楽器、スポーツ・アウトドア、コンビニ、外食、通販、美容家電業界を担当。

現在は『週刊東洋経済』編集部で特集の企画・編集を担当するとともに教育業界などを取材。週刊東洋経済臨時増刊『本当に強い大学』編集長。趣味はサッカー、ラーメン研究。休日はダンスフィットネス、フットサルにいそしむ。

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