大戸屋、経営陣の提案に創業家が示す「答え」 功労金の支払い額で両者に溝、新たな火種に

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この1年間、経営の混乱が話題になった大戸屋。事態は収束に向かうか(撮影:尾形文繁)

「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングスで、現経営陣と創業家の対立が表面化してから1年。事態は意外な展開を見せている。

会社側は5月10日、2017年3月期本決算と同時に、新たな取締役の人事案と、功労金の支払いを発表した。

功労金については、前会長の故・三森久実氏の遺族に対し、創業者功労金2億円と、遺族に対する弔慰金1000万円を払うという意向を示した。

前会長の死をきっかけに対立が表面化

現経営陣と創業家の対立の発端は、大戸屋の実質的な創業者だった久実氏が2015年7月に病気で急逝したことにさかのぼる。

久実氏が保有していた18%超の株式について、同氏の生前から会社側と創業家は、巨額の相続税の支払いを懸念。株式を売却せざるを得ない状況を想定し、功労金の支給を検討していた。

東洋経済が入手した文書によると、会社側は久実氏の死後に8億円超を支払う方針を固めていたが、後に撤回。取締役だった息子の三森智仁氏は辞任し、株式については2016年3月に妻の三枝子氏と智仁氏が相続した。

不満を持った創業家側は、昨年5月に功労金の支給と智仁氏の取締役復帰を求めて反対を表明。両者の対立は世間が知るところとなった。

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