大戸屋、渦中の社長が「お家騒動」を独占激白 創業の精神「母の心」はどこに消えたのか

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大戸屋ホールディングスの窪田健一社長は「かあさん おなかすいたよう」の心に応えたい、という創業者の理念が根底にあると語る。今回、対立した創業家と経営陣の双方にそうした思いは継承されているのか
今から2カ月ほど前の5月中旬、「大戸屋ごはん処」を運営する大戸屋ホールディングスで、役員人事を巡る対立が表面化した。会社側が発表した人事案について、株式の2割弱を握る創業家側が反対の意向を示したのだ。
経緯は少々複雑だ。大戸屋の実質的な創業者だった三森久実前会長が2015年7月に急逝。久実氏の持ち株は、夫人の三枝子氏と、息子で2015年6月に常務に昇進したばかりの三森智仁氏にそれぞれ相続された。だが、智仁氏は2016年2月に一身上の都合で役員を辞任している。
その後、会社側は役員の大半を交代させる人事案を株主総会に提示。役員を退任したばかりの智仁氏と、三枝子氏という創業家の2人は、この人事案に対して「能力がある海外事業担当役員の退任や、元役員の再登板に疑問がある」と反対したことで、にわかに注目が集まった。(関連記事:大戸屋、深刻化する「お家騒動」の向かう先
ところが2人は6月23日に開催された株主総会に出席したものの、動議はおろか、一切発言することはなかった。結局、会社側が提案していた人事案は約63%の賛成多数で可決されている。
窪田健一社長は総会の冒頭で、時には涙で声を詰まらせながら今回の経緯を語る場面もあった。総会を終えた今、何を思うのか。一連の騒動後、初めてメディアの取材に応じた。

「穏やかに総会が終わって良かった」

窪田 健一(くぼた けんいち)/1970年生まれ。東洋大学法学部卒。ライフコーポレーションを経て、1996年大戸屋入社。2007年から取締役、FC事業本部長、国内事業本部長を歴任、2012年から現職

――株主総会を終えて、率直な気持ちは?

大戸屋の理念の根幹は「お客様に美味しいものを出したい」「お母さんの手作り料理を出したい」といった、手間暇かけた美味しい定食を食べてもらうということ。株主が承認した経営陣が、こうしたことをしっかりやっていくに尽きる。

――創業家側は反対の意向を示していたが、株主総会の当日には表立って発言することはなかった。

メディアを通じて、色んな情報は伝えられてはいたが、創業家から直接的に(重要提案を行うなどの)連絡は一度もなかった。ただ、最終的に株主総会で創業家が質問するかどうかは、わからなかった。穏やかに終わったことは良かったと思っている。

――役員人事への賛成は約63%、この水準をどう受け止めているか。

想定通りだ。例年の議決権行使率は約6割程度。当社の発行済み株式数719万株に行使率を掛けると、430万株が母数になる。このうちの創業家が持っているのが135万株なので、その時点で反対票が33%くらいになっている。

賛成・反対のどちらにも入っていないものは反対票に入れている。これが例年8%くらいある。創業家の(実質的な議決権)33%に、白票の8%を加えた40%が反対票となる。そういった意味で、事前の想定通りの数字だった。

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