「はっきり内容を覚えている夢」の持つ役割 しっかり眠れているかどうかがわかる
たとえば、「見たい」と思った夢を事前に挙げ、実際にその夢を見た回数を求めるといった単純な実験。さらに、寝ている人の耳に息を吹きかけたり、冷たい水を顔にたらしたりして「音や温熱、皮膚感覚への刺激」をおこない、被験者の見ている夢の内容に変化があるかどうか、もしくは刺激が夢の内容に取り込まれるかどうかを調べた調査まであります。
「話しかけられる」と夢の内容が変わる?
たくさんの人が参加した「見たい夢を見る」ための実験もあります。
大学の大きな講義室に100人くらいの学生に集まってもらいます。少し離れた席の上には、1人の学生が横たわって眠っています。なんと、この実験では、100人の学生が、一斉に「見せたい夢の内容」を眠っている学生に話しかけて、被験者にその内容の夢を見せることはできるかどうか、を調べたのです。
そんな数々の実験を経て得られた結果は……「見たい夢を見る」のは不可能。事前の宣言と夢内容が一致したり、夢が刺激によって変化したりすることは、偶然に起こる以上の頻度で生じることはありませんでした。
今では一笑に付されるかもしれませんが、当時は学生も教官も必死だったことがこれらの実験から伝わってきます。
昔から夢を見ることはそれぞれ体験していて、「経験レベル」では既知の存在だったわけですが、それが科学レベルで存在が明らかになり、脳の活動と関連づけて確認されたのは20世紀半ばになってからでした。
このように睡眠医学という分野は、ほかの医学領域に比べると、「睡眠=ただの休息」という認識が根強かったため学問の歴史が浅く、まだまだわかっていないことが多い新しい領域です。
とくに「夢」については「未知」がたくさん転がっている研究領域なので、たくさんの睡眠研究者が依然熱い視線を送っている、それこそ「夢の絶えない」研究だといえるでしょう。
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