ランニングをすると、なぜ寿命が延びるのか 走る人は走らない人より3年長く生きる傾向
研究チームによるとこの結果から、分析した調査の被験者のうちランニングをしていない人がランニングを始めた場合、全体で死亡率が16%低下し、命にかかわる心臓発作が起こる確率が25%低下すると考えられるという(対象となった調査の被験者は主に中流層の白人)。
今回の研究結果でおそらく最も興味深いのは、統計的にはランニングは、それに費やした時間よりも長い時間、寿命を延ばすということだ。
クーパー研究所によるとランナーが走る平均時間は週2時間で、この場合、平均的なランナーは約40年間に6カ月未満の長さを走ると推計される。だが、それによって寿命がどれくらい延びる可能性があるかというと、3.2年にもなるのだ。およそ2.8年分プラスになるということだ。
研究チームによれば、統計的には1時間のランニングで7時間寿命が延びるという。
走りすぎても効果が減ることはない
当然ながら、寿命の延びは「無限ではない」とリーは言う。ランニングによって不死になることはなく、寿命が延びるのはおよそ3年が限度だとリーは指摘する。
すばらしいことに、長時間のランニングが長寿に逆効果を及ぼすことはなさそうだと、リーは付け加える。リー曰(いわ)く寿命の延びは通常、週に約4時間のランニングで頭打ちになるが、それ以上の長さのランニングで延びが低下することはない。
一方、ランニング以外の運動も寿命を延ばすのに確かに有効だが、ランニングほどの効果はないと研究者らは指摘している。ウォーキングやサイクリングなどその他の運動は、早死にのリスクを約12%低下させるという。
なぜランニングだけが早死にに対してこれほど効果があるのか、その理由は明らかになっていないとリーは言う。だが、特に中年層の高血圧や過剰な体脂肪など、早死にのリスク要因の多くに対してランニングが有効だと考えられるとリーは説明する。
ランニングはまた、有酸素能力を高めるという。高い有酸素能力は長期的な健康につながるといわれている。
今回の研究結果では、ランニングをする人は長く生きる傾向があることを証明するものだが、ランニングが直接的に寿命を延ばすことを示しているわけではない。
ランナーはまた、概して健康的な生活を送っており、彼らのライフスタイルそのものが死亡率に対して非常に大きな効果を及ぼしている可能性もあるとリーは指摘する。
だがそれを考慮しても、今回の研究によって、ランニングが私たちの寿命を数年延ばす可能性があることが示された、とリーは言う。
(c)2017 The New York Times News Services
(執筆:Gretchen Reynolds、翻訳:中丸碧)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら