日本の「健康ブーム」が、実は本物でない理由 「東京マラソン」も「皇居ラン」も大盛況だが…
2月26日、東京の街を市民ランナーたち3万6000人が駆け抜けた。世界最大規模の市民参加型マラソンとしてすっかり定着した東京マラソン。今年の申込者数は、一般募集枠の2万6370人に対して約32万人にも上り、その倍率はなんと12.2倍にもなった。
近年、市民ランナーの増加は著しい。皇居は市民ランナーの聖地としてすっかりおなじみとなり、周辺には多くのランニングステーション(着替えやシャワーなどができるランナー用の施設)が立ち並ぶ。
片や、ビジネスに目を向けると、アップルウォッチをはじめとするウェアラブルデバイス(身に着けることができる情報端末。心拍数、歩数、走行距離、睡眠時間などを計測できる)を各社がこぞって発売。運動時のデータなどを健康管理に生かす「データ・ヘルスケア」は、注目の市場となっている。
2020年東京オリンピック・パラリンピックについて、さまざまな場所で耳にすることが増えているのも追い風になっているのだろう。今、かつてないほどの健康・スポーツブームが到来しているかに見える。
それならば、当然にスポーツをする人も右肩上がりで増えている、はずだ。
成人男女の「スポーツ実施率」の実態
スポーツ庁が実施した2016年度「スポーツの実施状況等に関する世論調査」によれば、成人の「スポーツ実施率」は42.5%。「スポーツ実施率」とは、週に1日以上運動・スポーツをする成人の割合のことで、日本のスポーツ政策では、長らくこのスポーツ実施率を指標にしてきた。
2016年度の調査から調査方法を変更したため、単純な比較はできないが、スポーツ実施率は、1980年代の20%台から徐々に向上。1997年度には30%台に乗り、2006年度に40%を突破、2012年度の調査では47.5%に達している。
ところが、だ。2015年度には40.4%に低下し、先述のように最新の2016年度調査では、42.5%とまさかの低下傾向に陥っている。これはいったい、どういうことなのだろうか。現在の健康・スポーツブームは、実は幻想なのか。
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