「折れない」シャープペンはこうして生まれた 5年をかけ開発、ゼブラ「デルガード」がヒット

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さあいよいよ生産ラインに乗せて販売へ、となるはずだったが、サンプルを使っていた社員から物言いがついた。「カチカチと音がうるさい」というのだ。

デルガードの部品は芯を除いて22点を数える(記者撮影)

デルガードの部品は20点以上と通常の倍に及ぶ。部品点数が多いため、1つ1つの部品が小さい。筆記具としての耐久性を維持するため、部品の多くが金属製だ。その金属部品が筆記の振動で当たって音を立て、「集中するのに邪魔になる」という。

製品化へ向けて製造ラインはすでに動きだしていたが、急きょ稼働を止めた。部品が当たる箇所にOリング(樹脂でできたドーナツ状のパーツ)を取りつけ静音化に対応した。

小学生にもヒット

標準的なシャープペンの部品(記者撮影)

構想から5年、やっと日の目を見た折れないシャープペンの反響は予想を超えていた。シャープペンは中学生以上の学生に使われることがほとんどだが、「デルガードは小学生の購入者も多い」(ゼブラ広報)。

芯が折れないという機能から、「筆圧の加減がわからない小学生でも使いやすいため、親も買い与えやすい」(同)ためだ。

学校では使用が禁止されていても、鉛筆のように削る手間がないことから塾通いの小学生などのニーズは高い。折れない機能は新たなユーザーの開拓につながっている。

感謝の声が届いたこともあった。「手が不自由な方からでした。今までは芯が折れてしまったが、デルガードで生まれて初めてシャープペンを使うことができた、というものでした。まったく想定していなかったですが、このお便りには涙が出てきました」と月岡氏は思い返す。

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