「折れない」シャープペンはこうして生まれた 5年をかけ開発、ゼブラ「デルガード」がヒット

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デルガードの開発はこれで終わったわけではない。0.5ミリのスタンダードモデルに続いて、2015年には0.3ミリや0.7ミリの芯に対応した商品を開発した。

芯の太さが変わると耐久性が変わる。とくに0.3ミリは少しの衝撃でも芯が折れてしまうため、再びスライダーの傾斜を急に、スプリングはゆるめにしてカバーが出やすくするなど、試作を一からやり直した。

2016年11月に発売されたのが、消しゴムに工夫を凝らした「タイプER」(税抜き700円)だ。通常のシャープペンは上部のキャップの中に消しゴムが付いている。消す際にはキャップを外す必要があり紛失も多い。

逆さにすると消しゴムが出てくる

「タイプER」と機構の模型(記者撮影)

タイプERは消しゴムをキャップレスにし本体を逆さにすると、自動的に収納されていた消しゴムが出てくる。出てきた消しゴムにはロックがかかっているため、消すときに力を入れても引っ込まない。

消し終わって、また本体の向きを元に戻すと、消しゴムが本体に自動的に収納される。キャップを外す手間がなくなり、紛失する心配もない。

採用した機構は海外メーカーのペンを出す機構として、従来からあったものだ。ただ「シャープペンの上部に入れようとするほど、小型化が難しい」(月岡氏)。試作型での検証を何度も行ったため、これだけでも開発から製品化までに2年を要した。

開発は年単位と長期間に及ぶものの、毎年新商品を投入してきたデルガード。今年も「考えているところはある」と月岡氏は打ち明ける。今度はどんな機能を打ち出してくるのか。デルガードの快進撃はまだまだ続きそうだ。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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