ディズニーの「展覧会」が圧倒的にスゴイ理由 「マーベル展」には日本独自の仕掛けがあった
マーベル展と同時期に始まった「ディズニー・アート展」(4月8日から日本科学未来館で開催中)のストーリーは、「命を吹き込こむ魔法」。ミッキー・マウスの誕生から最新作『モアナと伝説の海』まで、アニメーション作品の原画450点以上を展示する。
同展は日本が主導したものではなく、すでにパリで開催されたものだった。しかしそのままでは日本に持ち込まなかった。ストーリーを再構成し、キャラクターがどのように生まれたのかという裏側や、「命を吹き込む魔法」を演出した最新CGなどのテクノロジーにスポットを当てた。
ディズニーのバイスプレジデントでマーケティングを統括するシェイクスピア悦子氏は「ビジネス以前にキャラクターを愛してもらうことが大事。展覧会という体験を通して、キャラクターのことを深く知ってもらえる」とその狙いを語る。
もちろん経済効果も無視できない。展覧会が成功すれば、確実に物販の売り上げにも結び付くという。展覧会単独で見ても、入場料収入で十分にペイしている。さらにビジネスパートナーに対しては、そのブランドやキャラクターの世界観をプレゼンする一つの手段にもなる。
展覧会をアジアにも"輸出"
展覧会はディズニーならではの手法といえるかもしれない。ディズニーは2年の期間をかけて、全国を巡回するようなブランドやキャラクターを数多く持つ。さらにテーマパークや映画、テレビ、ゲーム、物販など、顧客との「360度のタッチポイント」(シェイクスピア氏)を持つ強みがある。
ディズニーでは約5年のスパンで強化すべきブランドやキャラクターを決めている。そして映画の公開に合わせて何を仕掛けていくのか、物販やゲームといった日常のタッチポイントとして何を加えていくかなど、「一つの地図に落とし込んで、抜けているものを考える」(シェイクスピア氏)。そのはめるべきピースの一つとして、展覧会が加わったわけだ。
たとえば2015年4月の「スターウォーズ展」開催は、同年冬にディズニー傘下入りしてから初の映画公開が控えるタイミングだった。今回の「マーベル展」には日本でマーベルブランドを育てる意図がある。成功すれば、映画や物販など次の展開につながる。
日本で開発された展覧会は海外にも波及する。2014年に始まった「くまのプーさん展」は台湾や香港を巡回した。「ピクサー展」は韓国で開催されている。「アナ雪」の展覧会も、いま海外輸出を検討中だ。
たかが展覧会、されど展覧会。ここにはディズニーの総合力が端的に表れている。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら