「東芝府中事業所」の存亡に揺れる住民の胸中

存続か?再開発か?企業城下町の栄枯盛衰

町のマンションに住むある主婦は、「東芝の経営不振が連日報道されている。もし府中事業所がなくなったら、東芝町の住所が宙に浮いて、マンションのイメージが低下するのではないか」と心配している。

逆に、意外にも市民の一部からは、府中事業所の閉鎖と再開発を期待する声もある。というのも、巨大工場が閉鎖され再開発された結果、整ったオフィス街に変わったという成功体験があるからだ。

府中にあるJタワー。東芝の隣にあった日本製鋼所の跡地に建てられた(筆者撮影)

かつて東芝府中事業所の隣には、日本製鋼所東京製作所(府中市)があった(1938年設立)。建設機械(パワーショベル)や油圧機器を生産していたが、1987年に閉鎖され、府中インテリジェントパークに生まれ変わった。

18階建ての「Jタワー」(オフィスビル)を中心に、三井住友信託銀行や日本銀行のコンピュータセンター(日銀府中分館)などが立地し、雇用と税収を生み出す地区に生まれ変わっている。日本銀行府中分館の住所は府中市日鋼町で、日本製鋼所の由緒を残している。

規模ショッピングモールなどに生まれ変わる?

東芝府中事業所が今後も決算対策の必要に迫られ、売却される事態にでもなれば、大規模ショッピングモール、オフィスビルやマンションに生まれ変わるのではないかという観測が高まっても、不思議ではない。

しかし、ある東芝関係者は、「三重県四日市ほどではないが、府中はこれまでずっと、安定的に利益を出してきた事業所。府中事業所がなくなるときは東芝が消えるときだ」と力を込める。府中事業所の正門にあたる南門には、「新生東芝のトップランナー 府中事業所」という従業員の士気を高め、経営の覚悟を示す看板が掲げられた。そう、少なくても東芝自身にとって府中事業所は、大阪の陣「真田丸」のような存在なのだ。

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