オリンパスと大王製紙はどこまで復活したか 信用を大きく失墜させた、あの2社の業績は?

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オリンパスは医療用光学機器では高い技術を持っていて、世界的に大きなシェアを持っていますから、業績自体は安定しているのです。今のところ、収益性には問題ありません。

貸借対照表を見ても、徐々に安全性が高まってきていると言えます。平成24年3月期の「自己資本比率(純資産÷資産)」を計算しますと、5.0%と非常に低い水準でしたが、13年3月期には15.9%まで改善しています。(同社の13年3月期の決算短信14ページを参照)

それは、ソニーからの出資によって「株主資本」が大幅に増強されたからです。13年3月期の「資本金」「資本剰余金」が前年よりそれぞれ250億円ずつ、合計500億円増えています。これは、平成24年9月にオリンパスがソニーと資本業務提携をしたことで、同年10月と今年2月の2回に分けて合計500億円の出資をしてもらったのです。

さらに純利益が増えた分、「利益剰余金」が601億円から680億円まで増えましたし、円安の影響で「為替換算調整勘定」がマイナス1020億円からマイナス580億円まで赤字額が減りました。その結果、「純資産合計」が480億円から1524億円と大幅に増加し、自己資本比率も15.9%まで改善したのです。この数字はまだ低い水準ではありますが、まずまずのところまで回復したと言えるでしょう。

このように、安定した業績とソニーからの出資、それから円安の好影響によって、オリンパスは資本が充実してきたところだと感じます。今後も大きな経済の波が来ない限り、財務内容を改善していくことと思います。

御曹司の使い込みの後も、問題が多い大王製紙

大王製紙の井川意高元会長が、2010年4月から翌年9月にかけて複数の子会社から総額105億円[森脇4]を超えるお金を個人的に引き出し、逮捕されるという事件がありました。このお金の使い道がカジノでの浪費だったということで、当時は大きな注目を集めました。

その後も大王製紙は、インサイダー取引疑惑、不正会計疑惑など、多くの問題が次々と噴出していますが、現在、同社の経営はどのようになっているのでしょうか。平成25年3月期の決算内容を分析していきます。

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