オリンパスと大王製紙はどこまで復活したか 信用を大きく失墜させた、あの2社の業績は?

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まず、損益計算書から収益性を見ていきましょう。売上高を見ると、12年3月期は4089億円、13年3月期は4073億円ですから、ほぼ横ばいです。「営業利益」のほうも、今は紙の市況が弱いのですが、それでも13年3月期は115億円の利益を出しています。(同社の13年3月期の決算短信10ペ-ジを参照)

ただ、「売上高営業利益率(営業利益÷売上高)」は2.8%。この指標は、数字が大きいほど、本業において、より効率的に儲けているということですが、一般的に見て、大王製紙はそれほど高くありません。

次の注目ポイントは、特別利益の中の「段階取得に係る差益」です。これが、35億円から194億円まで大幅に伸びているのです。これはあまり目にしない勘定科目です。

「段階取得に係る差益」とは何を意味するのでしょうか。大王製紙が今回、創業家から買い取った関連会社の株式の価格が、過去に同社がそれらの株式を取得した時の価格より上回っており、その差額分が利益としてここに計上されているのです。

これが利益を押し上げ、最終的に「当期純利益又は純損失」は53億円の赤字から151億円の黒字になったというわけです。

しかし、大王製紙には大きな懸念材料もあります。同社は借入金の額が多く、それが今後の経営を圧迫する恐れがあるのです。

貸借対照表の「負債の部」から、借入金や社債などの有利子負債(13年3月期)を計算しますと、合計で4409億円。「資産合計」が6591億円であることを考えると、有利子負債の額が非常に多いことが分かります。(同社の13年3月期決算短信9ページを参照)

さらに、もう一度、損益計算書に戻りますが、「営業外費用」のうち「支払利息」が71億円計上されています。この低金利下でも、これだけ多くの支払利息を払っているのです。もし、これから金利が上昇しはじめたら、営業利益の水準から考えて、大王製紙の収益の大きな悪化要因になる可能性があります。

営業利益が115億円しか出ていないわけですから、仮に金利が今の2倍に上昇したら、支払利息も2倍になりますから、支払利息は140億円まで増加して営業利益を超えてしまいます。当然、その分は赤字になるわけですから、どんどん純利益が減っていくことになります。

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