福岡の西鉄が「車内装飾バス」に秘める地元愛 車内で揺れる「ぬいぐるみ」、何がきっかけ?
発案した男性職員と乗務員が100円ショップでグッズを買い込み、バス停と車内を装飾。すると乗客に好評で、病院内の保育所から「子どもたちに車内を見せてもらえませんか」と電話があったという。そこで30分だけ病院敷地内のバス停にバスを停めて、子どもたちを乗せたところ、大喜びしてくれた。
続くクリスマスシーズンには、その5営業所で合計7台のクリスマス装飾バスを企画。今度は自分たちで飾るのではなく、地域の人たちに飾ってもらう企画にして、地域の町内会や保育園、学校などに声をかけた。近所の県立高校の生徒に飾りを依頼した営業所もあった。
ちょうど昨年の夏、営業所職員とある高校の生徒会で意見交換会を行った際に、生徒から「バスの飾りつけをやってみたい」「車内アナウンスをしたい」という声が出ていたからだ。声をかけると、楽しみながら雑貨や手作りの折り紙、ポスターなどを車内いっぱいに飾ってくれたという。
さらに、車内アナウンスの案も採用。生徒たちが校歌をBGMにはつらつとした口調でマナー啓発を呼びかける車内放送を流し始めた。この学生アナウンスは、別の営業所でも地域の高校生とタッグを組み実施している。
季節に応じた飾りつけで工夫を凝らす
その後も、西鉄バスの職員も地域の人も楽しみながら装飾バスは続いている。バレンタインバスは女性乗務員が運転し、乗客が降りるときに100個限定でチョコを手渡した。
受験生応援バスには「応援しています」「必勝祈願」「合格」というメッセージを散りばめたり、ちょうちんを下げたさくらバスも運行している。
装飾バスを運転するのは、希望した乗務員。乗客から降り際に「よかった」と言葉をかけられたり、女子高生が「すごくない?」と興奮する姿を見たり、車内外の人が写真を撮る姿もよく目にするそうだ。
乗務員も「お客さんに喜ばれることで、仕事のやりがいを再認識できる」と満面の笑みで話す。最近、装飾バスを走らせる営業所に配属になったばかりの乗務員は「ほかの営業所でも『今日、あの装飾バスを見たよ』なんて話題になっていました」という。
先ほど、2014年に動物園の繁忙期にシャトルバスを装飾したのが今に繋がっていると述べたが、装飾バスの歴史は、実はさらに昔にさかのぼることもできる。
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