福岡の西鉄が「車内装飾バス」に秘める地元愛 車内で揺れる「ぬいぐるみ」、何がきっかけ?

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昨秋にハロウィンバスを生み出した片江営業所の職員と乗務員が「実は、こんな体験があった」と明かしてくれた。

2人は2008年に別の営業所で一緒に働いており、1度だけクリスマス装飾のバスを走らせたことがある。そのとき、40代くらいの女性客がかけてくれた言葉がずっと心に残っていた。

装飾バスの原点となった、ある女性客の「言葉」

バスを降りる際に、その女性客はこう言った。「1カ月前に主人を亡くし、今日は気晴らしに天神に出てきました。こんな素敵なバスに乗ることができて、これはきっと主人からのプレゼントだとうれしくなりました」。2人はその後すぐに異動となり、装飾バスを続けることができなかったが、「いつかもう一度」という気持ちを胸に秘めていたのだという。

それから約10年、2人は再び同じ営業所の勤務となり、すぐさま装飾バスの企画を進めた。その第1弾がハロウィンバスだった。その後もふたりでバレンタイン、受験生応援、さくらバスと精力的に展開し、乗客を楽しませるだけでなく、ほかの営業所にも良い刺激を与えている。

動物園を通る「装飾バス」は外側にも絵が描かれて楽しい雰囲気だ(筆者撮影)

乗客に乗務員、街でバスを見掛けた人――。地域に根差して口コミ的に笑顔の輪を広げているのが、装飾バスだ。

思い返せば私も、同じ福岡市内に住む友人のフェイスブック投稿でバスの存在を知った。

今年2月、「バスに乗ったら、車内がなんだかすごいことになっている」という言葉とともにアップされた1枚の写真に驚き、目が釘付けになったのが、最初の出会いだった。

最近は「あのバスは何時にどこを通りますか」という西鉄への問い合わせも増えているという。「期待してもらっているから、これからも頑張って楽しい企画を考えていきますよ」「あそこの営業所には負けんよ」。乗務員たちは装飾バスへの思いを熱を込めて話す。次は、どんなサプライズを届けてくれるのか。西鉄の装飾バスは、これからも注目を集めそうだ。

佐々木 恵美 フリーライター・エディター

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ささき えみ / Emi Sasaki

福岡市出身。九州大学教育学部を卒業後、ロンドン・東京・福岡にて、女性誌や新聞、Web、国連や行政機関の報告書などの制作に携わる。特にインタビューが好きで、著名人や経営者をはじめ、様々な人たちを取材。

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