「博多天ぷら」は東京でブームを起こせるのか 明太子、鶏肉、さば、ごぼうが具材
肉ブームほど大々的ではないが、外食・中食の分野ではひそかにご当地グルメブームが盛り上がっている。店の名前に地名をつけることや、ファストフードの限定メニューにご当地グルメが取り上げられることが、ここ数年でかなり増えているのだ。
外食チェーンを運営するダイヤモンドダイニングが、2月17日に東京・浜松町にオープンしたのも、そうしたご当地グルメの店のひとつ。「博多天ぷら 水炊きおでん なかお」である。博多天ぷらとはどういうものかというと、主な特徴が、カウンターの客の目の前で天ぷらを揚げ、揚がるそばから1品1品提供していく、その提供の仕方にあるようだ。また、天つゆや大根おろし、漬け物などが食べ放題というスタイルも、特徴のひとつ。明太子や鶏肉、さば、ごぼうなど、天ぷらにする食材も関東と多少異なる。このような博多天ぷらの店は、関東にもじわじわと進出してきている。中でも、福岡で有名な「たかお」が2016年4月に東京・港区にオープンして以来、博多天ぷらへの注目度はがぜん高まっていると言えるだろう。
また、水炊きおでんは、薄味のつゆで具材を煮込んだおでんのこと。鶏肉を水から煮出し、うま味を引き出しているのが特徴だ。浜松町という立地に、このような店を出した狙いは何だったのだろうか。店舗運営を担う秘書室・室長の長尾孝紀氏に聞いた。なお店名は同氏の名字に由来する。響きのよさやロゴとしての使いやすさから、濁点を除き「なかお」とした。博多天ぷらの店に「~お」とつく店が多いが、まねをしたわけではなく、偶然だったようだ。
「水炊きおでん」はまだどこも未参入
「ご当地グルメや博多天ぷらのブームを狙ったというよりは、グループとして“中食”の分野に参入したいという目標があり、天ぷらとおでんの業態を始めました。これまでにもおにぎりやつけめんなどに進出して、一度失敗している経緯があります。天ぷらは家庭では作りにくい料理なので、狙い目なのではないかと。なおかつ、水炊きおでんはまだどこもやっていない。この2つを店の売りにしようと考えました」(長尾氏)
もともと同グループはアルコール業態に強い。「アリスのファンタジーランド」など、テーマのあるレストランチェーンがよく知られているが、利益の点で柱となっているのは、都内をはじめ15店舗を運営する「わらやき屋」などの居酒屋業態だという。しかし近年では六本木にステーキ店をオープンするなど、レストラン業態への参入も推し進めている。そのほか子会社が運営する天ぷら食べ放題の店「Gachi」など、中食にも積極的に手を出しているというところだ。
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