ドル円相場はそろそろ大きく動き出しそうだ 「ボリンジャーバンド」で見た為替相場

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さてこの話を今のドル円相場の話に当てはめてみます。バンド幅をご覧ください。足元のドル円レートのバンド幅は昨年の11月から12月に比べて明らかに狭くなっていますよね。

今は「ドル高」「円高」のどちらかに振れる前の段階

つまり、バンドは収束しているわけですが、「今後、何かをきっかけに、バンド幅の拡散から大きな動き・トレンドが発生(急騰、急落)する可能性がある」と読むわけです。

では、こうした動き・サインを投資に生かすためにはどうすればいいのでしょうか? 以下の4つのことを考えてみたいと思います。

(1)【拡散をもたらすきっかけを探る】今後バンド幅が拡散するなら、その現象をもたらすのはいったい何なのか? 地政学的リスクなのか? 日米欧の政治的イベントか? これは現時点ではわかりません。しかし、今は「嵐の前の静けさ」で、「何かが次の拡散の動きをもたらす」と事前準備ができます。これは投資タイミングを図るうえで非常に大事です。

(2)【ポジションの縮小や、ヘッジ取引のきっかけに】バンド幅の拡散の過程では、変動率(ボラティリティ)が大きく高まることが予想されます。ということは投資において、リスクが高まるということですから、たとえば、自分の投資ポジションを大きく拡大していたら、急激な変動で大損するか大もうけすることを意味します。その意味で、事前にポジションを縮小させたり、ヘッジをしたりして、リスクを抑えた投資をするという選択肢を考えるきっかけになります。

(3)【トレンドを素早くつかめば利益を得るチャンスやリスク管理に】(2)と似たような話ですがバンド幅の拡散の過程で変動率が高まり、急騰、急落のトレンドが生まれる可能性があるということは、その方向性をいち早くつかみ、素早くそのトレンドに乗っていくことで収益機会を得られるチャンスがあるということです。逆に、自分の保有ポジションとは異なる動きになった時は、素早くロスカット(損失確定売り)をしないと大損してしまう可能性もあります。その点で、チャンスとリスク管理の必要性を認識させてくれる大事なサインになります。

(4)【オプションの活用も】コールやプットといった「オプション取引」を活用しているセミプロの投資家にとっては、あらかじめ、変動率が高まるというサインをつかむことは、大きな利益を得るチャンスです。ここでは詳細は述べませんが、たとえば、今後1カ月のマーケットは落ち着いた動きとなる一方、その後は、政治的イベントでマーケットが大荒れになると予想するなら、近い満期日のオプションを売り、先の満期日のオプションを買うというポジションを組むことで利益を上げることが可能になります。まさに先行きの変動率が高まるという情報が投資に直に結びつく例ですね。

このように、順張り、逆張り戦略としての「買いサイン」「売りサイン」だけでなく、「平時」における今後の変動率(ボラティリティ)の急上昇・急落の可能性などの大事なサインとしてボリンジャーバンドを使うわけです。ドル円レートの変動率が高まる場面では、連動性の高い日経平均株価の値動きも高まると思われます。ぜひ、こういったサインを日本株の投資戦略にうまく生かしていただけたらと思います。今回は、テクニカル分析の1つ、ボリンジャーバンドをドル円相場へ物差しとして当てはめ、投資に活用する例をお伝えしました。

なお、私が所属するNPO法人・日本テクニカルアナリスト協会では5月20日(土)に、ボリンジャーバンドを考案したジョン・ボリンジャー氏を日本にお招きし、福岡で講演会を開催します(11月は東京や大阪でも開催予定)。著名なジョン・ボリンジャー氏に直接会えるまたとない機会です。講演後もボリンジャー氏と簡単な懇親の場を設ける予定ですので、ご興味のある方はぜひこちらからお申し込みください。

中村 貴司 東海東京調査センター 主任調査役 シニアストラテジスト

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なかむら たかし / Takashi Nakamura

日系、外資系証券、損保・証券系運用会社でアナリスト、ファンドマネージャー等を経て現職。ファンダメンタルズ分析にテクニカル分析や行動ファイナンス理論を組み合わせた投資戦略、市場分析を重視。国際公認投資アナリスト(CIIA)、CFP、国際検定テクニカルアナリスト(MFTA)。日経CNBC等での出演のほか。日経新聞、QUICKなどでもコメント・執筆。早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター「ファンドマネジメント講座」などで講師を務める。

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