「リスク回避による円高」の根拠はかなり薄い

本来「朝鮮半島の有事」は円安要因のはず

朝鮮半島で本当に何かあれば、円高のままでいられるはずがない(2月の日米首脳会談時、写真:ロイター/アフロ)

シリア攻撃はトランプの「軍事版ツイート」だった?

「地政学リスク」が、にわかに市場の流行語となっている。特にこの単語が取りざたされたのは、シリア政府が反政府勢力に対し、化学兵器を使用したとの疑惑に応じて、米国が、日本時間の4月7日(金)午前に、シリア政府軍に対しミサイル攻撃を行なってからだ。

だが攻撃によって、シリア情勢そのものに対する不安が、世界市場を席巻したわけではない。ミサイル攻撃については、事前に米国がロシアに通告していた、という観測もあり、ロシアからは抗議声明はなされたものの、抑制的な調子であった。加えて、米ロ外相会談も予定通り行なわれた。

米国のトランプ大統領も、「アサド政権打倒を狙ったものではない」、との主旨を語っており、現在のシリアを巡る構図が以前と大きく変わったとは考えにくい。したがって、市場の懸念は「シリアに対する迅速な軍事行動がなされた」→「北朝鮮に対しても近日中に攻撃する可能性が高まった」、という連想であっただろう。

加えて、13日(木)の米国株を揺るがしたのは、米軍がアフガニスタンで、IS(いわゆる「イスラム国」)掃討のため、大型爆弾を使用した、とのニュースだった。これも、特に市場がアフガニスタン情勢そのものを心配したわけではなく、この大型爆弾の使用が、北朝鮮に向けての警告だ、と解釈されたためだろう。

こうしたトランプ政権の軍事面の行動の速さについてはどう評価すればいいのか。ある人は「機動力がある」と述べるかもしれないが、「軽率だ」という評価が正しい可能性もある。13日(木)付のファイナンシャル・タイムズ紙は、「軍事版のツイートだった可能性がある」と皮肉っている。つまり、トランプ氏が、大統領選挙の前も後も、ツイッターを通じて、種々の爆弾発言(大統領就任後は経済政策を含む)を行ってきたわけだが、そうしたツイートと同じノリで、実物の爆弾も使用したのではないか、という指摘だ。

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