「リスク回避による円高」の根拠はかなり薄い 本来「朝鮮半島の有事」は円安要因のはず

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だが、前述のアフガニスタン攻撃の報を受けて、13日(木)に米国株価が下落したことは、意外感があったのではないか。「遠くの戦争は買い」と言われる。これは、地理的に遠方で戦争が勃発しても、自国には被害が及ばず、かえって軍需産業が潤う、という期待が働くからだろう。

では、なぜそうならなかったのだろうか。この「遠くの戦争は買い」に外れた動きは、米国株式市場が地政学リスクを本気で懸念したというより、イースター休場前に手仕舞いたいと投資家が考えていたところ、その口実が与えられた、という面が大きいと考える。

「リスク回避のための円高」は思惑以上のものはない

一方、米ドル円相場については、「リスク回避のための円高」という念仏が久しぶりに唱えられ、円高気味の推移となっている。そのリスクが日本から遠い国で発生しているのであれば、リスクの発生元から日本に資金を避難させる動きが生じ、円高になる、という展開は理解できる。しかし北朝鮮という、日本に極めて近い国のリスクであるにもかかわらず(ましてや、最悪の場合、北朝鮮が日本にある米軍基地等を報復攻撃し、物理的な被害が発生する可能性が払しょくできないにもかかわらず)円が買われる、というのは、理屈に合わない相場だ。

こうした怪しい「リスク回避のための円高」が進む理由として、日本の投資家が、世界市場の波乱が怖いので、海外の投資資産をことごとく売却して、円現金に戻すからだ、という解説を目にする。

今回のような地政学リスクが発生する前に、日本から怒涛のように海外資産に資金が向かい、たとえば世界の株をジャパンマネーが押し上げているような事態であれば、その反動による円高はうなずける。だが、そんな話は聞いたことがない。あまり流れ出してもいないような国内資金が、大いに還流されて円高、という説は怪しいと考えている。

するとなぜ「リスク回避のための円高」が、北朝鮮でリスクが発生しても生じるのかと言えば、過去に北朝鮮がミサイルを発射したような局面や、さらには日本自身でリスクが生じた(国内株価の大幅な下落や、東日本大震災時など)場合でも、円高になったので、今回もなるだろう、という思惑以上のものはないだろう。

ところが先週は、前述のアフガニスタンへの攻撃があって、米国株価は当日(13日(木))下落したにもかかわらず、その日や翌日の金曜日の東京市場では、若干ながら円安方向へ揺り戻され、米ドル円相場は109円を出たり入ったりの動きとなった。週末金曜日の、イースター休暇で薄商いの米国市場では、じわりとさらなる円高気味の推移となり、108.65円近辺で引けたものの、一段と大きく円高が高進した、という感は乏しい。

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