野村克也が憂う、大谷翔平が抱える「大問題」 栗山監督の大谷起用法にも疑問がある

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二刀流の難しさは、「ケガをするリスクが、投手や野手一本だけのときよりも高まるのではないか」とは思っていたが、それは投手でありながら、野手の思考をおのずと持ってしまうことが原因となるというのが、今回の大谷のケガで露呈したのではないだろうか。

彼はプロ入りしてから今季で5年目になったが、受けた死球はわずかに2つしかない。たとえば2年連続でトリプルスリーを達成したヤクルトの山田哲人の2015、2016年の2年間の死球の数は13にものぼるし、2015年にトリプルスリーとなったソフトバンクの柳田悠岐のここ2年間の死球の数は、山田を上回る22もある。

どうして他のチームの投手たちは、執拗に彼の内角を攻めないのか、不思議で仕方がないが、「球界の宝なんだから、ぶつけちゃいけない」などという意識が働いているとしたらそれは大きな間違いだ。お互い生活がかかっているわけだし、そんな甘えが許されるわけがない。

大谷を一流の打者として認めているのであれば、山田や柳田らと同じように内角を攻めなければならないし、もし打者として復帰したらこれまでどおりの攻め方でなくなっている、なんてことだって考えられる。そうなったときに彼は対処できるのか、あるいは死球を恐れることなく内角をさばけるのか。それが「打者・大谷」として大成できるのかの分岐点となるかもしれない。

彼の二刀流には反対

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だが、私は彼の二刀流には反対だ。毎年ドラフトでたくさんの投手が入ってきても、160キロを超えるボールを投げる投手なんてそうそういるわけではないことは、自明の理だろう。今回の故障で球団も大谷も、真剣に話し合ってどちらか一本で勝負すべきではないだろうか。

それに個人的な意見で言わせてもらえば、このままでは彼は記憶には残っても、“記録に残らない選手”になってしまう可能性が高い。そのことが非常にもったいない。投手としてローテーションに入って投げ続ければ、ダルビッシュ有や田中将大を超える成績を残せるに違いないし、投手として長く現役を続けることができれば、200勝はもとより、300勝だって狙えるかもしれない。

確かにプロ入り前はメジャー志望だった大谷が、日本のプロ野球に入団するのであれば、二刀流を提案してくれた日本ハムへの入団がベストだった。だが、彼自身の体にその限界が見えてきた今、投手か打者のどちらかを選ぶ時期が来たのではないだろうか。

もしそうなった場合、私は「投手」を選ぶべきだと思っている。投手として適切なトレーニングを積んで、打者がお手上げとなるようなボールを投げ、着実に大投手の階段を歩んでほしい、というのが私の願いである。

(構成:小山 宣宏)

野村 克也 野球解説者

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のむら かつや / Katsuya Nomura

1935年京都府生まれ。京都府立峰山高校卒業。1954年、テスト生として南海ホークス(現福岡ソフトバンクホークス)に入団。3年目でレギュラーに定着すると、以降、球界を代表する捕手として活躍。1970年には南海ホークスの選手兼任監督に就任し、1973年にパ・リーグ優勝を果たす。1978年、選手としてロッテオリオンズ(現千葉ロッテマリーンズ)に移籍。1979年、西武ライオンズに移籍、翌1980年に45歳で現役引退。27年間の現役生活では、三冠王1回、MVP5回、本塁打王9回、打点王7回、首位打者1回、ベストナイン19回と輝かしい成績を残した。三冠王は戦後初、さらに通算657本塁打は歴代2位の記録である。1990年、ヤクルトスワローズの監督に就任。低迷していたチームを立て直し、1998年までの在任期間中に4回のリーグ優勝(日本シリーズ優勝3回)を果たす。1999~2001年、阪神タイガース監督。2006~2009年、東北楽天ゴールデンイーグルス監督。現在は野球評論家として活躍。著書に『野村ノート』『エースの品格 一流と二流の違いとは』(いずれも小学館)、『野村の流儀』(ぴあ)、『野村再生工場 叱り方、褒め方、教え方』(角川書店)、『なぜか結果を出す人の理由』(集英社新書)、『侍ジャパンを世界一にする! 戦略思考』『運』(いずれも竹書房)など。

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