野村克也が憂う、大谷翔平が抱える「大問題」 栗山監督の大谷起用法にも疑問がある
さらに言わせてもらえば、チームを指揮する栗山英樹監督や日本ハム球団の大谷の起用法についても疑問を抱かざるをえない。
栗山は、今シーズン開幕前に、「右足でベースを踏むな」「全力疾走するな」と大谷に指示したというが、それは「投手・大谷」であれば可能だった話で、「打者・大谷」として試合に出場していれば、彼自身、「なんとしても塁に出なくちゃいけない」という使命感が芽生えてしまうだろうから、こうした制約をつけること自体、どだい無理な話だ。
栗山は大谷に対して厳しく注意したのかもしれないが、「全力疾走するな」などというのは、「打者・大谷」に対して言うべき話ではないし、もし他の野手が大谷のように足首を痛めていたら、彼はそんな選手に対しても試合に出場させていたのだろうか? 普通に考えれば「下(2軍)で徹底的に治療して、完治させてから上がってきなさい」と言うはずだ。
目先の利益しか考えていないのではないか
栗山は大谷がWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)に出場できなかった時点で、「無理はさせられない」とコメントしていたが、実際は1軍キャンプに同行させ、オープン戦にもDHとして出場させた。
これも実際に彼が試合に出ないとなると、「チーム状況が苦しくなる」と考えていたからだろうが、ケガを抱えたままプレーして、さらに故障を悪化させるリスクよりも、完治させて全力プレーさせるほうが、大谷本人のためにも、ひいてはチームのためにもプラスになるのは自明の理ではないか。
たとえ大谷が一時期戦列から離脱してチームの成績が低迷しても、ケガを完治した後の彼のパフォーマンスを考えれば、メリットのほうが大きいはずだが、どうも日本ハム球団は「ケガの大谷であっても試合に出てくれれば、集客率が上げられる」という、目先の利益しか考えていないような気がする。
確かに興行的にいえば、「打者・大谷」だと毎試合観られるというメリットはあるかもしれないが、私が考えるに、「投手・大谷」は打者以上に無限の可能性を秘めている。投手として復帰できるようになるまで、1軍に戻すべきではないと、私はあえて苦言を呈したい。
もちろん大谷が試合に出ない間は、チーム状況は苦しいかもしれない。だが、彼の体のことや将来を考えてあげれば、そうした結論を出したっておかしな話ではないし、球団が批判の矢面に立たされても、彼のことを思い、全力で守って治療に専念させて完治させるべきだ。
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