新SNS「マストドン」が急伸している根本理由 中央集権的な従来型SNSとは何もかもが違う
ツイッターやフェイスブックなどクラウド型サービスは、多くの人が集まる場を作ることで、人の周り、場の周りに流れる情報を得て、それをマネタイズしている。人が集まり情報が流れる中では、その一部に広告を展開したり、ネット上の“場”を間借りしてプロモーションに活用するといったことが可能になる。
マストドンはそうしたビジネスモデルや、SNSのあり方に疑問を呈した作者によって開発された。
ではマストドンの急伸が「ソーシャルネットワークが真に“ソーシャル”であるなら、そこに中央集権的なプラットフォーマーが介在するべきではない」といった考え、イデオロギーに共感するユーザーによってもたらされているものかというと、実はそうではない。
マストドンでも書き込み(トゥート)を仲介するサーバーは存在する。しかし、クラウドに存在する唯一のものではなく、”誰しもがサーバーを設置できる”ようサーバーとなるためのプログラムが配付されている。
マストドンはドイツに在住するオイゲン・ロッコ氏が設計・開発したものだが、ロッコ氏が立ち上げた最初のサーバー(すでにID募集は終了している)以外に、別の利用者や運営者がマストドンのサーバーを立ち上げており(これをインスタンスという)、異なるインスタンス同士が相互接続され、メッセージやIDの情報を交換することでマストドンの世界がグローバルに広がる仕組みだ。
マストドンの仕組みは「メール」に近い
ツイッターに限らずクラウドコンピューティングで展開するSNSの場合、グローバルで唯一のサービスに全員が接続する。そこには何の属性もなく、フォローする相手などを自分自身で決めていきながら、徐々にコミュニティの形ができていく。
それに対し、マストドンの通信の構造は電子メールに近い。電子メールでは組織ごと(あるいは部門ごと)などに異なるサーバーが設けられ、サーバー同士が適切にメッセージを交換することでメッセージが届く仕組みを構築している。
マストドンも同じようなものだ。ユーザーがマストドンに接続すると、まずは同じインスタンスに参加している利用者の「トゥート」をタイムラインとして表示することができる。インスタンスは運営者ごとに特徴を持っていることも多く、共通の趣味や興味に特化したインスタンスが運営されている。その数は日本国内にあるものだけでも100近いと推察され、今も増え続けている。
つまり、自分が興味を持っているテーマや考え方などに応じて参加するインスタンスを選ぶことで、そこに表示される話題は必然的に“興味ある内容”となり、そこで返信をしたりトゥートを送ったりすると、同じような感性や興味を持つ相手が返信をくれる(場合もある)ということだ。
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