ダメな上司は部下に真の「準備」をさせてない 防衛大で学んだ「高負荷」と「イメージ」の重み

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客観的に見て、要領が悪いのか、もしくは準備不足でイレギュラーな事態に弱いのかのどちらかだと思っていました。私もすぐにLさんにヒアリングすればよかったのですが、他の部下の教育に追われ、後回しになっていました。

日頃まじめな人が一度落ち込むと…

『防衛大で学んだ 無敵のチームマネジメント』(日本実業出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

そんなある日、Lさんは私の上司からひどく指導されます。理由は客先への提案資料の出来があまりにひどいといった内容でした。私を通さずに直接指導する上司も上司ですが、それはさておき、そのときLさんは本当にへこんでいました。

日頃まじめな人が一度落ち込むと手に負えません。私もなんだか忍びなくなり、フォローも兼ね、その夜、Lさんと食事に行きました。お酒も入り、緊張が解けたのか、Lさんは涙目にしゃべり始めます。

「毎日、まじめにやっているつもりなんです。私は要領が悪いんです。大学時代からいつもそうなんです。何をやってもうまくいかないんです。向いていないんですかね」

私は猛省しました。ここまでLさんを放っておいた自分に対して無責任さを感じました。よくよく聞いてみると、Lさんは要領が悪いわけではありません。

日々の「準備」ができていないだけです。毎日の終わりに最高のアウトプットをしている自分をイメージしながらの「準備」ができていないだけです。私は防大時代の富士登山の話をしました。

富士山の頂上で最高の達成感を感じている自分をイメージして準備をしていたら、間違いなく「酸素ボンベ」を買います。イメージをしていない人間は「酸素ボンベ」は準備しません。

それからLさんは、今日1日の最高のアウトプットを出すための準備を私に報告してくるようになりました。

「金曜日までに見込み客のA社との売り上げを確定させます。火曜日の12時までに3パターンの提案書を作成します。社内確認終了後、水曜日の15時までにA社のH部長に提案書を提出します。リスクヘッジも考え、金曜日の17時までにH部長から連絡がなければ、B社へのアプローチをしてみます」

「しっかり準備しろ」と言う管理職はたくさんいます。ただ、そんなことはみんながわかっていることです。まずは、メンバーに最高の「アウトプット」を出している姿をイメージさせてみると、最高のアウトプットを出すために必要なものが見えてきます。その必要なものを確実に準備する力が「準備力」です。

その後、元来まじめなLさんは、最高のアウトプットを出し続けます。今は独立して貿易事業を行い、世界各国を駆け巡っています。

濱潟 好古 組織マネジメント・人材育成コンサルタント

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はまがた よしふる / Yoshifuru Hamagata

1982年福岡県生まれ。防衛大学校卒。IT系ベンチャー企業に営業職として入社。入社2年目から5年目まで売上№1営業マン。6年目に営業部長就任。防大時代に学んだ経験を元に独自に構築した「防大式マネジメント」を導入したところ、2年間で会社全体の売上を160%アップ、中堅、新人と関係なく、すべての営業マンに目標予算を達成させる。2016年、株式会社ネクストミッションを設立。「今いる社員を一流に」をモットーに中小零細企業の社長、大手生命保険会社のリーダー等に「防大式組織マネジメント」研修を開催している。

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