ダメな上司は部下に真の「準備」をさせてない 防衛大で学んだ「高負荷」と「イメージ」の重み

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部下の1人に異業種から転職してきたHさんという営業マンがいました。転職するくらいなので、「やる気」はあります。ただ、まだ業界に慣れていないこともあり、「成果」を出しあぐねていました。

行動量を上げると成果は出やすくなる

ある日、「成果」が出ずに悩んでいたHさんから相談を受けました。

「3カ月以内に成果が出ないなら退職しようと思います。迷惑をかけられません」

責任感が強いHさんは、頑張っても「成果」が出ないので自分に能力がないと思ったのでしょう。その日から、私とHさんの営業特訓が始まりました。

簡単に言えば、すべての行動量を3倍にするというものでした。コール数を3倍、顧客訪問数も3倍といった具合です。最初は大変そうでしたが、慣れてきたらこなせるようになっていきました。2カ月ほど経った頃にはみるみる成果が出始めました。最終的には3カ月後に社内MVPを取りました。表彰でのHさんの発言を今でも忘れません。

「転職したばかりのときは成果が出ずに不安でした。不安を感じるとなかなか行動ができなくなりました。辞めようと思っていたところ、部長に相談したらとことん行動に負荷をかけていこうという話になり、まずはすべての営業活動量を3倍にしました。忙しくなって不安なんて感じなくなり、結果も出るようになりました……。えっと、高負荷万歳、部長ありがとうございました」

その後、Hさんは毎月目標予算を達成しました。その姿を見ていたマンネリ営業マンたちの行動量も上がっていき、チームが加速度的に動き始めました。管理職冥利に尽きます。

やる気はあるけど、なかなか成果が出ない人は多いと思います。不安で「あれやこれや」と考えてしまい、うまく行動できない方も多いと思います。そんなときは1度、「高負荷」をかけてみてください。

負荷をかけると余計なことを考えなくなります。行動量を上げると成果は出やすくなります。そして、最初に高負荷をかけるとスタートダッシュにもつながります。結果的に伸び悩んでいた本人たちのためになります。ぜひ試してみてください。

懸垂師匠のI君は、卒業後も自分自身に負荷をかけ続けます。そして、今はヘリコプターのパイロットになり全国で活躍しています。

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