教育無償化は「働き方改革」にも繋がっていく

教育投資の必要性と財源負担を訴えるべきだ

2つ目は社会保険料に上乗せするアイデアだ。小泉氏をはじめとする自民党の若手議員らが提案しており、「教育国債は未来への投資ではなく、未来へのツケ回し。消費税も実現に何年かかるのか。現実的ではない。少子化対策は待ったなしだ」(小泉氏)としている。使途は就学前教育費に限定し、歳出規模も3400億円(従業員と事業主に各0.1%ずつ上乗せしたケース。0.5%ずつ上乗せだと約1.7兆円)と比較的小さいのが特徴だ。

3つ目が消費税などに財源を求める案。民進党の平野博文・「次の内閣」ネクスト文部科学相らは、消費税率10%への引き上げ時にそのうちの1%分を教育に充てる「消費税の使途組み替え」を主張している。平野氏は「配偶者控除の廃止や金融所得課税の引き上げなども財源になる」などとし、複数の財源を組み合わせた5兆円規模の無償化を構想している。

4つ目が歳出削減で財源を捻出する議論だ。これは日本維新の会が主張している。同党の浅田均・参議院議員は「公務員人件費は国と地方を合わせて約25兆円。大阪で実現したように、行政改革で人件費を25%カットすれば財源は生み出せる」と話す。

4つのタイプの財源案にはそれぞれ一長一短がある。下村氏や平野氏は「財源はいろいろ組み合わせる」(下村氏)、「教育国債も一案」(平野氏)などとしており、必ずしも教育国債や消費税の使途組み替えだけにこだわっているわけではない。

必要性を訴え負担を求める小泉進次郎氏

ただ、麻生太郎財務相が「教育国債の実質は、名を変えた赤字国債と変わらない」と言うように、教育国債は将来世代へのツケ回しにすぎない。消費税率10%に1~2%を上乗せするのでなく、10%を変えずに使途だけを組み替える案は、正面からの負担の議論を回避した提案といえる。むしろ、国のおカネを使ってでも教育を充実させるべきだと考えるのであれば、正面から国民に負担を訴え、「未来への投資」への理解を求めていくのが政治家の仕事ではないか。

その点、負担が現役世代に偏っているなどの欠点はあるとはいえ、小泉氏らの「こども保険」案は、真っ正面から教育投資の必要性とそのための負担を訴えた点で政治家らしい提案だと評価できる。

当面の焦点は、毎年6月に策定される政府の「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)にどのように盛り込まれるか。与党の政策が決まると、それをめぐって与野党の本格論戦が始まりそうだ。

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