教育無償化は「働き方改革」にも繋がっていく 教育投資の必要性と財源負担を訴えるべきだ

拡大
縮小

国際比較すると、日本の特異さが際立つ。たとえばグラフのように、大学新入学者の平均年齢はOECD諸国との比較で見ると極端に低い。

働き方改革を促す効果も大きい

仮にこの3点セットが変化すれば、日本の大学の姿や役割は大きく変わるかもしれない。25歳、30歳になって一念発起し、自分の力で大学に入る社会人が増えれば、20歳前後の若者があふれる大学キャンパスの雰囲気も一変するだろう。矢野名誉教授は「大学無償化を進めるのは18歳のためではない。働いてみて、人生を考え直し、キャリアチェンジや学び直しを考える大人のためだ」と強調する。

政府は現在、働き方改革を進めている。改革の中で掲げた9つのテーマの1つとして「雇用吸収力の高い産業への転職・再就職支援、人材育成、格差を固定化させない教育の充実」をうたっている。雇用の流動化が進み、思い立ったらキャリアチェンジのために誰でも大学に行けて、何より、「残業」より「学習」を優先するようになれば、好ましいワーク・ライフ・バランスが実現するのではなかろうか。

働き方改革の今後の方向性を占ううえで、教育無償化という政策課題は政府の本気度を測る格好のリトマス試験紙になる。

山田 徹也 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまだ てつや / Tetsuya Yamada

島根県出身。毎日新聞社長野支局を経て、東洋経済新報社入社。『金融ビジネス』『週刊東洋経済』各編集部などを経て、2019年1月から東洋経済オンライン編集部に所属。趣味はテニスとスキー、ミステリー、韓国映画、将棋。

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT