「いつか産みたい」人がハマる想定外出費の罠 30前半と35以降で不妊治療費は大きく変わる

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

早期に、特に妻が30代前半までに不妊治療を受け始めることができた場合、時間的な余裕がある分、治療の選択肢が広がります。若干の検査や服薬で自然妊娠を試みることもでき、この場合の費用は数万円程度で済むはずです。

もし、読者が30代前半で「いつか子どもは欲しいけど、まだいいかねえ」と思っているならば、すぐに不妊治療を行うクリニックで検査だけでも受けてみることをお勧めします(もちろん夫婦ともに!)。

少しの勇気(通院するという勇気)と、たった数万円の負担で、もしかしたら半年後にはおめでたのニュースを医師から告げられる、ということもあるかもしれません。

体外受精をするなら、1回40万円は見込むべき

一方、体外受精を試みるなら、1回あたり40万円程度は見込んでおきたいところ。これと比較すれば、早期受診による費用負担の軽減差は歴然です。一般的に35歳を過ぎてくると「時間」との戦いになってくるため、自然妊娠をのんびり試すことができず、数十万円の負担をかけてでも確率の高い(といっても保証はない)不妊治療を試さざるをえなくなるわけです。

体外受精の場合、1回で済むとも限りません。1回あたり40万円と見込んで、毎回3回分の妊娠(着床)を試み、4回ほど体外妊娠を試みれば、1年間では160万円が飛んでいく、ということです。ボーナスを全額回したとしてもおそらく捻出するのは難しい金額であり、あらかじめいくら用意できていたかが鍵となります。「次のボーナスまでおカネがないので3カ月は何も手立てがなく、無為に過ごさざるをえない」というのは、まさに焦燥の日々です。

逆説的ですが、「不妊治療を試みるかどうか決める前に、そのためのおカネを確保しておく」ことが不妊治療のマネープランです。

実際に治療を始める前に、少なくとも100万円は貯めておきたいところです。これにより最初の検査と数回の体外受精等にチャレンジできます。200万円以上あればかなりの余裕をもって不妊治療にチャレンジできるはずです。

しかし、不妊治療を決める前の夫婦は不妊治療を受けるつもりがないわけですから、不妊治療のためのおカネの確保を積極的に行う動機が高くありません。そして数年後、資金ニーズが生じてもおカネを用意できていないということになります。これはマネープラン的には難問です。

そこで私がよくアドバイスするのは「とにかく結婚したら貯金をしましょう」ということです。

結婚したら、旅行や家具の購入、住宅取得など、資産を蓄えて夢を実現することについて建設的になります。いつか生まれる子どものためのおカネを用意しておこうという提案であれば、うなずくカップルは少なくありません。

新婚夫婦が夫婦の合計所得で600~800万円あったとすれば、仮に年収の10%を5年貯めたとして300~400万円の資産形成になります。結果として不妊治療の道を選択したとしても、こうした資産があれば費用を十分に確保することができます。もちろん、順調に子どもが誕生するはこびとなれば、貯めたおカネは子育て費用として使うことができるわけですし、住宅購入の頭金とすることもできます。

次ページ困ったときは親も頼れ!
関連記事
トピックボードAD
マーケットの人気記事