フランス人が日本人の働き方に感じる「恐怖」

「忙しいこと」がなぜステータスなのか

とはいえ、日本人の「頑張り」について、正直なところ、みんなどこまで本当のことを言っているのか、本気でそんなに頑張りたいと思っているのか、それ以外に選択肢がないのか、疑問がある。実際のところ日本で働いていたとき、そしてフランスで日本人と仕事をしている今でも、私より遅くまで職場に残っている日本人は多い。

日本人と仕事をしたことがあるフランス人のビジネスマンからよく聞くのは、「日本人はまじめでやる気もあるし、丁寧でよく働くが、効率が悪い」という指摘だ。フランス人から見ると、日本人は形や細かいことにこだわりすぎて、重要な点にまで気がまわっていないように見える。フランスでは、「日本人はアリのような働き者」という表現がある。たくましく働くという意味もあるが、あまり考えずに働くというネガティブな意味で使うこともある。これはあくまでも、イメージなので悪くとらえないでほしい。

フランス人に欠けているものは

一方、フランス人に足りないのは「仕事にプライドを持つ」ということだ。フランスでは残念ながら、社会階級と同様で、仕事階級というようなものが存在する。いい大学を卒業し、大手企業でいい肩書を持って働く人と、学歴の低いパン職人では、社会的には別のレベルと見なされてしまう。フランスに住んでいた日本人の美容師が、「日本だったら美容師は経験を積めば給料も上がるし、キャリアアップできるが、フランスでは職人は一生給料がほとんど変わらないし、社会的にあまり認められてないから苦しい」と話していた。

日本では、どんな職に就いている人でも(自分の地位にひそかに苦しんでいるかもしれないが)、フランス人の私から見ればプライドを持って仕事をこなしているように見える。たとえば、日本ではトイレの清掃員も笑顔で、感じがものすごくいい。実は、これにはフランスから来た観光客も驚いている。

一方、フランスはどうか。フランスでは、清掃員や大工、工場ラインの作業員など、必ずしも学歴を必要としない仕事は、フランスでは移民、もしくは移民の子孫がほとんどという状況になっている。社会的地位が低く見られていることもあって、プライドを持ってこうした仕事をしている人に会うことはそんなにない。

まとめると、日本人には「プライドを持ったいい頑張り」と「人目を気にする悪い頑張り」の2種類があるような気がする。同僚や会社、社会からよく思われるためだけに努力をしても、いずれつまずくことがあるのではないだろうか。逆に、自分のやっていることが好きで、誇りを持てるのであれば、疲れずに頑張れるのだろう。

あなたの働き方はどちらだろうか?

もし、後者なら、フランス流にさっさと仕事を切り上げて家に帰って、家族と一緒にゆっくりとバカンスのことを計画しながら、人生をゆったり過ごすのもひとつの方法かもしれない。

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